浜岡原子力発電所
(1/2000パノラマ模型)

全くの手探りで始め、ほぼ1ヵ月半で完成。なんとか本番に間に合いました。海抜高さ18mの防波壁を正確に再現するのが目的でした。

長らく休止状態だったこのWebサイトをゆっくり再更新していきます。更新としても、ほぼ2年半ぶりです。

この間に世の中は大きく変わりました。
2011年3月11日に起きた東日本大震災です。

私自身も本業で人事異動がありました。平時でしたらそれなりに大きな事だとわかっているのですが、何かの力に動かされ、より世の中に貢献できる立場にしてもらえたのだと、すとんと受け入れられました。これまでのマルチタイプの仕事から原発問題の報道に特化した部署の責任ある立場になったのです。

多くの方がそうであったように、震災直後はプライベートの時間は皆無に等しくなり、ましてや模型の事を考える余裕は全くありませんでした。そんな中で、私の中で大きく変わったのは2011年の4月下旬に入ってからでした。福島第一原発原子炉建屋1号機の2面図を入手できたのです。

被害に遭われている方々の顔が浮かび当然逡巡しましたが、今の世の中の報道に欠けているのはこの部分ということが身にしみていましたので、批判も覚悟の上で1/144のカットモデルをフルスクラッチしました。完成したのは5月13日、静岡ホビーショーの前日でした。会場で静かな話題になる中、翌日の日曜日はテレビ生出演のため東京に急遽持ち帰ることになりました。放送と同時に大変な反響を頂きました。これも、そう遠くないうちに公開します。

時は流れ2011年9月のとある日、静岡の系列局である静岡朝日テレビから応援に来ている報道記者に相談されました。「実は11月に我が社で震災特番を予定しているのですが、スタジオ展開するために浜岡原発のパノラマ模型を作ってもらえないでしょうか?」・・・もちろん即決でした。

浜岡原発は静岡県御前崎市に位置する中部電力の原子力発電所です。2011年5月6日の菅直人総理の緊急会見の発言に基づき、全面停止しています。大規模な東海地震に対する安全対策が十分ではないという理由です。中部電力は独自に安全対策を公表し、既に大規模な工事を始めました。その目玉は海抜18m、厚さ2m、全長1600mにも及ぶ巨大な防波壁です。

これをどう伝えるか・・・、空撮、CG、もちろんそれはあります。しかし私としては模型で再現したかったのです。危険だ、安全だという考えを皆さん自身が判断する一つの材料に、正確なものをお届けしたかったのです。浜岡原発には浜岡原子力館という大変立派なPR館があり、見事な実物大原子炉模型や、3号機の1/30模型も展示してあるのですが、全景パノラマ模型はありません。社員教育用に一つあるらしいのですが、一般には非公開です。つまり大多数の人が浜岡原発の全景模型を見たことが無いのです。

勤務時間外の自宅での製作ですので、時間の捻出は困難を極めましたが、自分を追い込むためにmixi日記の毎日更新を義務付け、多くのマイミクの方々の応援の元、なんとかたどり着けました。ここにそのmixi日記を再編集したものを公開します。mixiは多くの方の書き込みとの会話のキャッチボールで内容が膨らむのですが、今回の再編集では元日記のみで構成します。mixiの通常会員は640pic×480picサイズ3枚の画像を使うので、当研究室フォーマットとしては新しい枠組みになりますのでよろしくお願いいたします。

今回、初めてこのサイトを訪れた方もいらっしゃると思いますので確認です。この日記は「浜岡原発模型の正しい作り方」ではありません。マニュアルも何も無い中、限られた時間内で無駄と失敗を繰り返し試行錯誤した素人製作記録日記です。素人サラリーマンが自宅でこんなことをしたんだという記録です。勘違いの無い様にお願いいたします。





ちなみにこのパノラマ模型は無事にスタジオ収録に間に合いました。

☆静岡朝日テレビ
2011年12月6日 19:00〜20:00
「徹底検証!静岡を襲う巨大地震」

として放送され、スタッフの熱意も実り、視聴率22.1%と高い数字を記録しました。
静岡県民の皆さんにとって非常に関心のあるテーマです。
その後、この模型は静岡朝日テレビに永久貸与されました。

そんな中、お知らせです。

静岡ホビースクエアの無料閲覧ゾーンに、2012年1月21日から、このパノラマ模型が常設展示されることになりました。静岡在住の方にとって、浜岡原発は間違いなく注目の施設かと思いますが、どんな大きさで、何があって、どんな施設なのかご存じない方も多いと思います。建設中の防波壁がいったいどんな規模のものなのか、是非ご自身の目で確かめてください。

(2012/01/18)

日付 内容 本番まで 更新
2011/10/16 開始宣言 あと34日
2011/10/17 ネットmap あと33日
2011/10/18 TV画像 あと32日
2011/10/19 試練 あと31日
2011/10/20 失敗は成功の元 あと30日
2011/10/21 資料収集 あと29日
2011/10/22 番外編 あと28日
2011/10/23 噛み合わせ変更 あと27日
2011/10/24 ベース完成 あと26日
2011/10/25 超音波カッター あと25日
2011/10/26 フライト あと24日
2011/10/27 路面塗装 あと23日
2011/10/28 台座の仕上げ あと22日
2011/10/29 マスキング方針変更 あと21日
2011/10/30 敷地面塗装 あと20日
2011/10/31 あ・・・ あと19日
2011/11/01 山の接着と烏口 あと18日
2011/11/02 取水槽と防波壁基礎開口 あと17日
2011/11/03 ベース接着とマスキング あと16日
2011/11/04 情景テクスチャーペイント あと15日
2011/11/05 番外編 北海道泊原発 あと14日
2011/11/06 砂浜の製作 あと13日
2011/11/07 波の表現 あと12日
2011/11/08 植樹 あと11日
2011/11/09 実は・・・ あと10日
2011/11/13 行ってきました あと6日
2011/11/14 雪化粧 あと5日
2011/11/15 海の再製作 あと4日
2011/11/16 一気呵成に あと3日
2011/11/17 建屋の平面処理 あと2日
2011/11/18 静岡への旅立ち あと1日
2011/11/19 いざ行かん静岡へ! あと0日
2011/11/20 大団円
2012/01/21 静岡ホビースクエアに展示
2012/12/22 防波壁かさ上げ

海側から見た全景。蛍光オレンジ色に塗られた物が「防波壁」の完成予定立体物です。
手前にあるスケールで、浜岡原子力発電所の敷地の広さがある程度わかっていただけるのでは?
海岸にほぼ垂直方向から見た浜岡原発です。「防波壁」は高さも厚さも正確に1/2000で再現されています。
模型だから出来る珍しいアングル。この角度から見た画像、映像は世の中に公開されていないと思います。
右端の5号機のさらに右隣の空き地は、6号機を建設する候補地でしたが・・・。
大きさの比較のために、同じ1/2000スケールの東京ドームの模型を置きました。これも模型ならではです。
本番直前のリハーサル風景。

☆静岡朝日テレビ
2011年12月6日 19:00〜20:00
「徹底検証!静岡を襲う巨大地震」
視聴率22.1%