ウエスティングハウス社・原子力発電所
1959年(昭和34年)発売キット

今(2014年現在)から55年前!!にアメリカで発売されたキットです。日本で買ってもらえた子供はどんなお金持ち??

続いての制作日誌公開は「ウエスティングハウス社・原子力発電所」です。と言われてもピンと来ない方が大半でしょう。現在60歳前後の方なら「レベルの原発のプラモデル」と言った方が通りがいいかもしれません。

それでもわからないという方、それが普通です。現在50歳の大台を超えた当研究室助手にとっても原体験は全くありません。それもそのはず、このキットが発売されたのは1959年なのです!昭和34年です!!今から55年前です!!!

日本で初めてのプラモデル・マルサン社のノーチラス号が発売されたのが昭和33年12月ですから、ほぼ同時期になります。ちなみにタミヤはまだプラモデルの発売前で(初のプラモデル大和の発売は1960年)、この原発模型と同じ1959年となると木製スターリン戦車を発売したばかりですので、いかにアメリカがプラモデル先進国だったかがわかります。

当研究室助手の本業が、現在原発関連の取材中心になっていることから、このキットはいつかは作らなくてはと思っておりました。しかし55年前に超が付く高嶺の花だったキットは、55年後には輪をかけて高嶺の花です。絶版模型ショップでもまず見かけることはなく、ごくまれにネットオークション出たとしても大卒の初任給クラスの値段が付いたこともあります。しかし神様はいました。作りかけのジャンク状態のものをリーズナブルな金額で入手できたのです。当時の子供が手がけて早々に投げ出したかに見える状態で、作りかけと言っても全体の5%にも手を付けてなく、欠損パーツも数えるほどでした。

現在、日本にある原発は大きく分けて2つの型に分類されます。それは「沸騰水型(BWR)」と「加圧水型(PWR)」です。沸騰水型は主に東京電力、東北電力、中部電力などが採用し、加圧水型は主に関西電力、九州電力、北海道電力などが採用しています。事故を起こした福島第一原発は沸騰水型ですが、このレベル社が模型化したのは加圧水型でした。日本で加圧水型となると大飯原発、高浜原発、玄海原発、川内原発、伊方原発、泊原発などが有名で、基本的にはこのレベルの模型と同じ原理です。

以前、フルスクラッチした福島第一原発は既存の作業員フィギュアに合わせて1/144スケールで作りましたが、全くの偶然ですが、このレベルの原発模型も1/144スケールでした。奇しくも沸騰水型、加圧水型の両方を同じスケールで組み立てることになったのですが、双方の思想の違いなどが改めてよくわかりました。

正直、55年前の製品というのがにわかに信じがたいほど良く出来ていますが、バリだらけで、一つ一つのパーツの平面と垂直、そして太すぎたり厚すぎるところは極力オリジナルの良さを残しながら加工しました。そのため何でもないところにとんでもなく時間がかかっています。ネット検索すると世界中で少なくとも完成品が3例UPされていますが、いずれもキットオリジナルに敬意を評しての無塗装・素組みのようです。今回は塗装し、ミニジオラマ仕立てにしました。

この作品は2013年12月に横浜人形の家で開催された「石坂浩二〜ろうがんず展示会」で展示されたものですが、多くの方からネットで反響を頂いたこともあり、2014年5月17日(土)、18日(日)開催の静岡ホビーショー第25回モデラーズクラブ合同作品展のろうがんずブースでも展示予定です。足を運ばれる方は是非ご覧ください。


(2014/05/08)

日付 内容 本番まで 更新
2013/11/09 圧力容器のレストア あと28日
2013/11/10 格納容器の製作1 あと27日
2013/11/11 格納容器の製作2 あと26日
2013/11/12 格納容器の製作3 あと25日
2013/11/15 格納容器の製作4 あと22日
2013/11/22 タービン建屋の製作1 あと15日
2013/11/26 大型クレーン・鉄塔の製作 あと11日
2013/11/27 新しい工具の使用と基本塗装1 あと10日
2013/11/30 タービン建屋の製作2 あと7日
2013/12/02 台座の製作・基本塗装2 あと5日
2013/12/03 台座の完成 あと4日
2013/12/05 配線とレイアウト あと2日
2013/12/06 完成・屋外撮影 あと1日
2013/12/07 搬入・展示 あと0日

左:加圧器と蒸気発生器 右:圧力容器  とても勉強になります
一応屋根はあるけど衝撃のオープン状態のタービン建屋。
右側の12個の部品からなるクネクネしたものは手すり付きの階段ですが
この図一枚だけで、どこにどう接着し、最終的にどんな形になるか図示されていません。
配管もどこに繋がるかわかりますか?これを完成させられた子供は果たしていたのでしょうか?
一つ一つのパーツに番号があり、下に英文の説明があるのでとても勉強になりますが・・・。
さすがに55年前のデカールは使えないか・・・しかし一部強引に使ってみました。
46cm×26cm×9cmと迫力十分なBOX。側面のイラストも秀逸です。
しかしいかにボックスアートとはいえ、時代を考えてもセキュリティが・・・
苦労の末、1ヶ月ほどで完成!屋外撮影しました。
大型クレーンは太陽光の青空が似合います。55年前のキットです。
オリジナルにない電飾も入れました。白熱灯色LEDです。