5月10日(火)
<あと4日>

配管等の製作

図面に合わせて2mmプラ棒を熱で曲げます。
余分に作り上手くフィットするものを選んでから組み立て、長さを調節します。
圧力抑制室内部の配管です。タコの足のようになっている先端から高温の蒸気が排出され
ドーナツ管底部に貯められた水で冷却されて液化し減容するという仕組みがわかります。
圧力抑制室底部に貯められた水の再現です。
厚みのある透明プラスチック板として目の前にあったDVDケースをサークルカッターで切断。
使用済燃料プールの水も同様に再現します。後にクリアーブルー塗装予定。
組み立てるとこうなります。穴が空いているのはベント管(タコの足)が入る部分。
マニュアルはないのでどんどん作っていきます。
圧力容器のまわりには主蒸気配管や冷却管など様々な配管があります。
この模型を作るためにそれぞれの配管の役割を全て調べあげたことが
その後の本業での取材に役立ったことは言うまでもありません。
いわゆるポンチ絵でもイメージ模型でもない証がこれです。
見えない後ろの部分の配管は省略しました。
それぞれの役割に応じて配管を原色でエアブラシ塗装します。


正直、3年経った今ではこの頃の記憶があまりありません。当時残されたmixi日記の記述とデジカメ画像を頼りに今回の記事を書いています。

自分としては分不相応な大作に足を踏み入れているわけですが、締め切りが近づくに従って残された画像が少なくなっていきます。つまり写真を撮る余裕がなくなるほど追い詰められていたわけです。

圧力抑制容器(サプレッションチェンバー)は「格納容器の圧力を下げる装置」という説明が連日報道されていましたが、果たしてその仕組みをどれだけマスコミは説明しきれていたか疑問です。模型が出来上がれば視覚的に訴えることが出来ます。1/144に縮尺された図面に合わせてどんどん作っていきました。圧力抑制室内に貯められた水の表現として透明のプラスチック板を使うことを考えたのですが、手持ちの透明プラ板で一番厚いものでも組み立てを考えるとイメージに合いません。もうこの段階では「外に買いに行く」などは時間的ロスから考えられず身の回りのものを使うしかありません。ふと目にとまったのがDVDケースでした。昔は大切にしていたケースも、現在はPC用に大量に購入して余っていたのでこれでしのぎました。

何度か書いていますが製作マニュアルは一切ないので毎回の工程でアイデア勝負です。通勤時間なども始終アイデアを考え、ひらめいたらメモしていました。配管も太さだけでなく、全体でカーブを描く場合はやわらかな素材、鋭角に曲げる場合は硬い素材の局部を熱して曲げます。今回の製作にあたって図面に載っているすべての配管の役割を完全に理解しました(もちろん本物の原発の配管はこの数十倍、数百倍の細かな配管が通っています)。このことがその後の本業の取材で大きく役立ったのは言うまでもありません。内部の構造がわかってくると日々の専門用語が飛び交う記者会見の内容も一層理解が進みます。

圧力容器に直接つながる配管の役割ごとに色分けして原色をエアブラシ塗装します。主蒸気配管は1本ではありません。冷却スプレイ系配管の位置はここです。循環用ジェットポンプの役割は・・・

実は製作途中画像撮影はここで終わっています。このあと2日間、いや実質3日間の製作途中画像を撮影していないのです。もちろん必死に製作は続けていました。次回の日記はいきなり完成に向かいます。

(2014/01/15)