大鳳(木製)
発売時期 | 発売時価格 |
1961/06 | ¥110 |
画像提供:タミヤの船ファンさん
大変お待たせいたしました。「タミヤニュースの世界」編集のため4ヶ月近く滞っていました更新を再開します。 今回取り上げるのは「小松崎茂画伯が初めて描いた田宮模型のボックスアート」であるミリオンシリーズ大鳳です。「あれ?小松崎先生の初めてのタミヤ作品はパンサータンクじゃないの?」と思った方もいらっしゃると思います。事実、ベストセラーとなった「田宮模型の仕事」にもそう書いてあるのですが、当研究室で既に紹介してある通り「小松崎茂画伯が初めて描いたタミヤのプラスチックモデルのボックスアート」はパンサータンクというのが正しい表現です。こちらの大鳳は木製ですからね。 当時、俊作社長が雑誌の読者投稿欄に小松崎先生の名前と住所を見つけたというのは「世界の艦船」昭和35年10月号(通巻39号)です。ちなみにこの読者欄の投稿規定をよくよく見ると“匿名による寄稿は一切認めない”とあり、既にウルトラビッグネームであった小松崎画伯も律儀に自宅住所までお書きになり、それが載っているわけです。もしその住所が書いてなかったら、大げさではなく今のタミヤが無かったかもしれないと思うと感慨も新たですね。 小松崎画伯は下記の順でタミヤのボックスアートを手がけていらっしゃいます。
早速そのタミヤ初の小松崎ボックスアートを見ていきましょう。既に当時押しも押されもせぬメジャーな挿絵画家であった貫禄が至る所に見られます。フライパスする天山が手前に2機、そして今まさに飛び立とうとするこれも天山でしょうか。艦船の絵を描くときは必ず航空機を入れる画伯の構図そのままです。空の雲、煙突からの煙がたなびく様、どれをとってもそれまでの艦船模型のボックスアートとは一線を画す躍動感がありました。ちなみに「小松崎茂〜プラモデル・パッケージの世界/大日本絵画」ですでに紹介されておりますが、ボックストップの英文は俊作氏自らが今で言うインスタントレタリングで打ったもので、スペルにちょっとした誤りがあることに40年近くたって俊作氏が気づき焦ったということがありました。 キット自体は木製くりぬき船体です。そのくりぬき部分にTKK01か02モーターを取り付け電動で走るというのがミリオンシリーズの売りです。単3電池1本で走るのですが、電池ボックスやコード、スイッチなどはおろかスクリューやジョイントなども一切付属しておりません。しかし当時の世相を考えると模型店には「艦船用パーツ」として普通にスクリューなどが売られていましたので大きな問題になりませんでした。そしてこのキットの最大の特徴は何といっても艦載機でしょう。逆転スイッチの部材等として使われた厚紙風の素材を切り抜いた部品が入っています。これが当然2次元の世界でして今となってみれば「味がある」などと言えるのですが、当時の購入者の悩みのタネだったことは容易に想像がつきます。しかしおそらく多くの方がこの厚紙の部品を主翼の部材として使用し、木片などを追加して3次元の模型に改造なさったのではないでしょうか?原体験をお持ちの大先輩の方々、教えて下さい! 今、改めて組み立て説明書を読んでみると「ミリオンシリーズNo.6」の記述を発見しました。「田宮模型全仕事3」で艦船部分を担当した伊東さんも悩んでおられ、この大鳳をミリオンシリーズNo.3としながらも「ミリオンシリーズの最後と思われる」との解説が加わり(ミリオンシリーズの戦艦・空母は武蔵、大和、大鳳、翔鶴、ミズリー、テルピッツの6種類が確認されている)、混乱が見られます。そしてこのキットの発売から丁度11年後の1972年6月。ウォーターラインシリーズにタミヤの大鳳が加わります。しかしそれ以降およそ30年間、新開発の大鳳は発売されておらず、ファンならずとも待たれるところでしょう。 最後になりましたがこの大鳳の木製キットは当研究室掲示板でもおなじみのタミヤの船ファンさんの個人所有の物をお借りして撮影したものです。氏はこの初海戦で爆発事故による沈没という悲運の航空母艦「大鳳」に思い入れが強く、フジミから発売されていた大鳳のすべてのバージョン(3タイプ4バージョン)も所有なさっており、今回その画像もお借りすることが出来ました。改めてこの場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました。 (2001/05/13) |
意外にパーツは少なく見える...が | 中央の茶色の厚紙製ゼロ戦が見えますか? |
地球儀マークの左にNo.6の文字。この組み立て説明書の上半分には原寸の側面、上面図がある。 |
ソリッドモデルには塗装。しかしこの記述はやはり凄い。 |
モーターライズにするのも大変です。 |
タミヤにおける新旧大鳳。 |
フジミの4バージョン揃い踏み。 |