SU−57スターリン


発売時期 発売時価格
1962/12 ¥100



まだまだ未知の部分が多いワールドタンクシリーズの研究です。キットNo.2のSU−57スターリンを紹介しましょう。

まずこのキット、発売時期が当研究室の資料では特定できていません。1963年2月10日号の少年サンデーの広告で「新発売ロンメル戦車」となっている下に「SU−57スターリン発売中」となっていますので、おそらく発売時期は1962年末と考えられ、秋の玩具見本市を考えて仮に10月としておきます。ちなみにこの広告には同時に「No.3ロングトム1月15日発売、No.4デストロイヤー1月25日発売」と明記されています。タミヤ初の戦車プラモデル「パンサータンク」の発売が1962年のお正月ですから、まだ丸1年なんですね。

ボックスアートは説明不要の小松崎茂画伯で、わずか¥100という値段のキットですが、他社の同価格帯キットと比べても明らかにゴージャスです。前作のキットNo.1がM42ハンターですから、子供達は連続して「対空戦車」というアイテムを学んでいたことでしょう。箱の横を見てみると黒のバックに英文がぎっしり...と思いきや、なんとドイツ語です。これはM42ハンターでも同様でした。一方ボックスエンドは英語表記で、ワールドワイドでグローバル(?)な箱ですね。

現在でも資料の少ない実車ですから、キット化は苦労が絶えなかったと思います。オープントップの砲塔内再現に苦しんだか2体の人形が入りました。この時点で発売になっている戦車は、1/35パンサータンク、タイガータンク、ワールドタンクM42ハンターという事ですので、これは「タミヤ初のミリタリー人形だ!」になる訳なのですが、車体に比べて明らかに大きく、オーバースケールです。当時、少年だったS氏の証言によりますと「なんだよ、これはベビーレーサーの人形じゃん(一部現代語訳)」となりまして、あまり嬉しくなかったそうです。しかしインストの完成写真をずっと見つめ続けると、なんだか違和感無く自然に感じられてきて...というのは無理がありますか?

ところで、このワールドタンクシリーズは¥100という安価ながらしっかりゴムキャタピラでのモーターライズ走行を再現しているのですが、複数の方から「子供には難しくて、走らなかった」といった体験証言が出ています。なるほど初版のインストにある完成写真を見ても、ゴムキャタピラが緩そうで、走行性能には疑問符が付くのですが、かつての挫折をトラウマに(?)これを現代のオヂサンが完動品に再生するという静かなブームが一部の高尚な方々(^_^;)の間で起きております。

素朴な疑問ですが、初版、2版目共にボックスアートでの速射砲の仰角が、ほぼ直角までいっているのですが、実車もここまで出来たのでしょうか?どなたか詳しい方教えて下さい。

(1999/09/19)


ボックスサイド。よく見ると...なんと!ドイツ語!!これを読んでいた少年はいたのでしょうか?
「1957年以降、戦車ならびに機械化連隊の対空中隊、もしくは師団(直属)の対空連隊、
さらには(旧東独の)国家人民軍およびポーランド、チェコスロバキアでも部隊使用。
評価:目下、部隊使用されている最良の対空戦車。高い射撃速度、地上戦闘にも強力な火力、
良好な装甲(を誇る)」柴田和久さん、訳して頂きありがとうございます。

ボックスエンド。こちらは英語でツインフラックガンタンクとの表記が...

問題の2人の兵士。やはり大きすぎる様です。 出所はベビーレーサーのドライバー。
初版インスト。ゴムキャタピラが緩そうです。大丈夫か? 2版目インスト。こちらのゴムキャタピラは良さそう。
「SOWJET」とはドイツ語でソビエトの事。(柴田さん多謝!) 57mm速射砲2連装。転輪は4つ。(1/35M42インストより)

2版目ボックスアートも小松崎画伯。右上のワンカットイラストは大西将美画伯。