T92デストロイヤー(リモコン)


発売期間 発売時価格
1963/02 ¥300



タミヤ初のプラスチックモデル戦車は’61年末に発売になった1/35パンサータンクですが、その価格である¥400というのは当時の子供達にとって決して安い値段ではありませんでした。そこでタミヤは素早く手を打ちます。’62年に「たった¥100でモーターライズ」というワールドタンクシリ−ズをスタートさせるのです。

このシリーズはわずか1年間で6種類もキットを出し(添付資料はNo.5と6が入れ替わっています。正しくはクルセイダーがNo.5)、そして完結します。さらにデラックス版としてリモコンタイプも発売になりました。ベビーリモコンシリーズと名づけられたシリーズの輝くキットNo.1がこのデストロイヤーです。

ワールドタンクシリ−ズでは6種類ありましたが、スターリンとチャフィーはリモコン化されず、ベビーリモコンシリーズは4種類で完結します。もともと小さい車体にTKK13モーターを2つ入れリモコン操縦するというのは現在の目で見ても驚異的です。少なくともタミヤは、この後35年経った現在まで、これより小さいリモコン戦車は発売していません。金属ギアを一つ一つ組み上げていく様は、まさに現在のミニ四駆の始祖。ひのき模型工房森本さんのHPを地でいってます。

ギア比から想像するに、かなり高速で動いたと思われますが、どなたか原体験をお持ちの方、当時の様子を教えて頂けないでしょうか?(ある人はキャタピラが空回りして動かなかったなんて言ってましたが...)

発売当初は¥300だったのですが、すぐに¥250に値下げされました。リモコンボックスも最初期レバー式だったのが、途中でカマボコ型押しボタン式に変わる為、2種類存在します。そして旧ロゴのまま製造停止を静かに迎えます。

元となったワールドタンクシリーズは途中、新ロゴに変わってすべてパッケージが新しくなります。値段も¥100のままで、キットの中身もほとんど変わらないのですが、ギアボックスが片側式から、モーターを挟み込む両側式に改良されました。

ところで、このワールドタンクシリーズも静かに製造停止を迎えようかという’67年12月に、全く新しい1/50ポケットミュージアムシリーズというのが始まりました。そのキットNo.1も、このT92デストロイヤーなのです。

このシリーズはタミヤにとっても異色です。国内では戦車のプラスチックモデルは当時モーターライズが主流でしたが、海外では精密ディスプレイが主流ということで、海外向けに企画され、アメリカのホーク社を通じて世界に発売されました。それを知った国内のファンの要望に応えて日本でも発売になったのです。完全新金型のディスプレーキットで、はっきり言ってミリタリーミニチュアシリーズの元祖です。
ホワイトパッケージも斬新で、現在の目で見ても十分鑑賞に堪えるキットの出来でしたが、キットNo.2のクルセイダーまでしか発売されず、’70年版のカタログでは既に製造停止になっています。

似たようなサイズで同じ名前の戦車ですから、ワールドタンクシリーズとポケットミュージアムシリーズを混同している方が多いと思いますが、全くの別の物で共通部品は一つもありません。キャタピラも新規金型です。ただデカールだけは同じ物が入っていました。

ポケットミュージアムシリーズは1/50ですが、先に発売されていたワールドタンクシリーズはノンスケールでした。ただ物によってはスケール表示がありました。このT92も1/55ということなのですが、このポケットミュージアムシリーズの1/50より一回り大きいのはご愛敬でしょう。


リモコン版の箱の中。
初版レバー式リモコンボックスが見える。
ワールドタンクシリーズ初版。旧ロゴ
ボックスアートは平野光一画伯の初作品。
ワールドタンクシリーズ2版目。新ロゴ ポケットミュージアムシリーズ。

リモコン版のインスト。一つ一つの金属ギアの組み方や、TKK13モーターの大きさより、車体の小ささがわかる。

ワールドタンク初版。ギアボックス基部が片側だけ。 ワールドタンク2版。モーターを挟み込む。
左:1/35U号戦車の車体下部
右:モーター版T92。一回り小さい。
一応、スケール表示は1/55。
左:ワールドタンク
右:ポケットミュージアム。全くの別物
左:ワールドタンク
右:ポケットミュージアム。全くの別物
ワールドタンクのインストより車体上部 ポケットミュージアムのインストより車体上部
ホーク版:箱絵はワールドタンク版だが中身は全くの新金型 同じくホーク版クルセーダー。こちらも平野光一画伯。