発売時期 | 発売時価格 |
1963/11 | ¥600 |
当研究室でついに取り上げた1/21デラックスシリーズのトップバッターはキットNo.3のM2GUN、通称ロングトムです。衝撃的なデビューだったことは想像に難くないNo.1のM4シャーマン、今もマニア垂涎のNo.2のM40ビッグショットに続くこのキットは、ビッグショットの大砲部分に大型の10個のタイヤを伴った砲台基部を新規に加えたものです。 No.1のM4シャーマン(リモコンが先に発売されました)のボックスアートは小松崎茂画伯だったのに、ビッグショットとこのM2GUNは違います。特にこのM2GUN初版のボックスアートは記録写真からそのまま構図を持ってきたのではと思われる程リアルなものですが、作者は平野光一画伯です。 世の中がモーターライズ全盛に向かっている時に出された本格的「ディスプレイ」キットですから、これこそが1/35ミリタリーミニチュアシリーズの元祖と言っていいかもしれません。1963年発売当時の価格¥600は決して安い金額ではありませんが、十分に見合う内容を持っています。部品総数がなんと231点もあり、初版のビッグショット同様このM2GUNもアルミパイプの砲身を持ち、弾丸が発射(!)出来ました。 今でこそ1/35に別売りで正確にテーパーが刻まれたアルミ砲身というのがありますが、35年前にアルミを使った複合素材キットだった大きな理由はやはり弾丸をスムーズ発射させる正確な筒であることだったのでしょうか。この弾丸発射ギミックは現在の目で見ても本当に素晴らしいもので、発射後は薬莢が分離し、別のバネ仕掛けで排出されます。砲身の上下左右動もウォームギアも使ったギアの組み合わせでハンドル操作出来ました。キットの箱を開けた時にこの金属ギアが多数見えますので、一瞬モーターライズキットかと錯覚してしまう程です。 キット完成後も8個のタイヤからなる前部車輪や2個のタイヤからなる後部車輪をジョイントピンで取りはずす事が出来ますので、射撃姿勢や牽引態勢も容易に再現できます。 この弾丸発射ギミックは1966年に入り残念ながら削除され、黒箱から白箱に変わり、新進気鋭の高荷義之画伯のボックスアートで黒丸タミヤの中期ロゴキットとして生まれ変わります。そしてここがタミヤの良心だと思うのですが、発射ギミックを削除したということで、定価を¥600から¥500に下げるのです。弾丸パーツとスプリングだけではとても¥100にはなりません。この分は赤字だと思うのですが... はからずもモデルグラフィックス最新号99年4月号にこの初版キットを紹介させていただきましたが、今後も皆さんの協力の下、研究を進めてまいります。 |
全パーツ。手前のアルミ砲身の全長は25cm。 | 左の銅色パーツ:薬莢、右の灰色パーツ:弾丸 |
左の一際大きいスプリングは薬莢排出用で砲身内部に。 他の細いスプリングは弾丸発射用。 2本のアルミパイプは砲身上下動時にスライドする。 |
高荷義之画伯ボックスアートの2版目。¥500に値下げ。 発射ギミック削除も、砲身の上下動ハンドル操作は健在。 ボックスサイドに「ロングトム」の名前が入った。 |
砲身上下左右動ハンドルギミック。スケールを壊さず見事! | 弾丸発射!! |
牽引時のキット完成写真。中央上部のキラリと光る部分に被さるのが別の2本のアルミパイプ。 |
これが弾丸発射ギミックの全貌! |