スタジオ撮影

対向車両の運転席の高さで見ると・・・


後日、テレビカメラでスタジオ撮影をする事になりました。

専門の美術スタッフに交差点の正確な寸法のデータを渡し、図面を引いて1/24スケールに縮尺して大型用紙に出力してもらいました。部屋の照明を落とし、念のため周りを暗幕で覆って準備をします。強力な照明の他にスポット光の装置も用意して様々な角度で撮影しました。

今回の大型トレーラーの実車は、荷台部分に最大30tもの重さの荷物を積むことが出来ます。あくまでも一般論ですが、もしも走行中に先頭の牽引車部分が急ブレーキを踏んだとしたら、荷台部分には大変な大きさの慣性力が残っており、前方に飛び出そうとします。この時、牽引車部分のハンドルがほんの少しでも左右どちらかに切られていたとしたら、トレーラー全体は「く」の字型に折れ曲がるようになって転倒してしまいます。この「く」の字型に折れ曲がる様がジャックナイフに似ているので「ジャックナイフ現象」と呼ばれるのです。文章で書かれると、頭を使いながら想像をたくましくして考えないと理解できないこの現象も、模型を使えば簡単に表現できます。

交通事故がどのようにして起きたのかは、現場に残された道路のスリップ痕、キズ、残された事故車両の損傷具合をつぶさに解析することで判明します。目撃者や当事者の証言はもちろん大切で重要です。しかし一切の主観が無い、物言わぬ証拠こそが真実を語ります。「現場に残された傷跡はウソを言わない」が、気骨の交通事故鑑定人・駒沢幹也氏の口癖です。

あくまでも趣味の世界の延長にすぎなかった今回のプロジェクトですが、事故の真相解明にひとかけらでも貢献できたとしたら、こんなに嬉しいことはありません。模型製作日記という一点で進めてきた今回の一連の更新ですが、最後になりましたが、事故で亡くなられた一人の青年への追悼の気持ちをお伝えし、結びとさせていただきます。


現場の交差点の寸法も出してあり、検証します。 道路は美術スタッフが製作し、大型用紙に出力。
ヒンジのUP画像。ドライブラシのかけ過ぎです。 ゴムベルトは本物素材だけに、やはりリアルです。
撮影用の強い照明を浴びて・・・ 無動力なので、撮影時にテグスで引っ張りもしました。
牽引車部分のリアビュー。 照明を消してストロボ撮影するとこんな画像に。


真横からのアングル。
交差点を塞いでしまうほどの大きさです。