14日目  11月19日(月)

汚し塗装

右手でシャッターを押すので、撮影用に左手にエアブラシの
イメージ画像です


「汚(よご)し塗装」・・・。AFV模型を作る人なら当たり前の単語ですが、まだまだ一般に浸透している言葉とは言えないでしょう。しかしイメージは簡単に湧くと思います。そう、AFV(装甲戦闘車両:まあ、平たく言えば戦車のことです)模型ではピカピカの新車のままのような塗装ではリアル感が足りないので、わざと汚れたように塗装をするのです。カーモデルでは一般的にはピカピカツヤありにし、いかに綺麗に塗装するかが勝負で、ラリーカーなどを除けばあまり汚し塗装はしません。しかし今回はトレーラーですので汚し塗装をした方がリアル感が増すでしょう。

汚し塗装の仕方は60年代末に試行錯誤の時代に入り、70年代末頃から様々なテクニックがハウツー本に紹介され、何種類かのやり方が確立されました。薄めたフラットブラック系の塗料をカゲにあたるところなどにエアブラシする方法。ラッカー系の塗料で基本塗装を終えた後、エナメル系の薄めたフラットブラック系の色を全体に薄く塗って拭き取る方法(ウオッシング・スミ入れ)。エナメル系の薄めたダークイエロー系の塗料を筆に一旦含ませ、その筆をティッシュペーパーの上などで何度もこすり、殆ど筆に塗料が残らなくなった状態で模型のエッジ部分を軽くこするように塗る方法(ドライブラシ)などが一般的です。

こればっかりは机上であれこれ考えるより、自分で何度かやってみるのが一番です。当研究室助手は基本にそって上記の3種類をいずれも試してみました。偉そうな事を書いていますが、99年の水モノオフ会のために作った潜水艦ハリバットが生まれて初めてのエアブラシ体験であり、ウオッシングやドライブラシも全くやったことがありませんでした。しかしアーマーモデリング誌のおかげで土居さんや金子さんといったスーパースターに色々と教えてもらえるという夢のような環境で、大いに楽しんでいます。例えてみれば生まれて初めてゴルフクラブを握ったら、タイガーウッズや丸山茂樹に教えてもらえたような物でしょうか?あ、でも別に土居さんや金子さんに手取り足取り教えてもらったわけではなく、試行錯誤する中で「こんなときはどうなさってます?おお、そうするんですか」といった程度で、実際の作例を穴のあくほど見つめて学ぶのが主ですね。

牽引車部分には薄めたフラットブラック系の色を3種類ほど用意して、それらしくエアブラシをします。特にホロの部分は陰になる部分を考えながらエアブラシするといい感じになりました。トレーラー部分のサイドパネルは薄めたエナメル系のフラットブラック系の色を筆でそっと置くと、毛細管現象で勝手に溝を塗料が流れていい感じに広がってくれます。そしてヒンジ部分にはダークイエロー系の塗料でドライブラシをしたのですが、予想通りやりすぎてしまったのが反省点です。

・・・丸々2週間かかりました。ようやく完成です。


エナメル系塗料で墨入れ ようやく完成。この日も午前4時コース。