アポロ宇宙船

とても35年前のキットには見えません。


通信系のトラブルで発射時刻が1時間強遅くなりましたが、本日、無事に国産のH2Aロケットの7号機が打ち上げられました。これを記念して1年前にスケールアビエーションVol.35(2004/01号)に載せるために作った「アポロ宇宙船」を公開します。

依頼を受けたのは2003年11月。動く戦車オフ会2003を終えた直後で、丁度アーマーモデリングの連載ではエーダイ1/76シリーズの最終回である「ドイツ秘密基地」の回にあたり、普段の見開き2ページを倍の4ページにしてもらったところでした。そこに同時進行でこのアポロ(こちらもなんと4ページ!)も作る事になり、一度に8ページにわたる原稿を書くことになったのです。大変貴重なキットではありますが、「こんな機会を与えていただけるなんて、なんて幸せなんだろう」とドッキングセットに当たる「アポロ宇宙船」のキットを組みました。

キットの良さを見せるために基本は素組み(4方向噴射ノズルの先端のみはピンバイスなどを使って開口)ですが、キットでは着陸船の表面を覆う金属箔が省略されているので、この再現だけは試行錯誤してみました。当初、王立科学博物館の食玩で宇宙船マニアになられていたモリナガ・ヨウ氏から「チョコレートの銀紙がいいみたいですよ」とアドバイスを受けたので色々と買ってみたのですが、思ったような金色の物に出会えず、またクシャクシャにした時の折れジワがあまりにも鋭角的でイメージに合いません。そんな時に偶然発見したのは冷凍食品をくるんであるシートでした。発泡スチロール材の片面に銀色のフィルムが貼ってあるもので、キャンプなどで使う断熱レジャーシートといえばおわかりでしょうか?この銀色の薄いフィルム部分だけをペリペリと剥がしてみるとまさにイメージ通りです。

また、付属のデカールが劣化していたこともあり、新規に細かいマーキングも再現したく、デカールをパソコンとアルプスプリンタで自作しました。慣れとは恐ろしいもので、ごく普通に自作デカールも出来るようになっていました。

月面のジオラマ台の質感は見事の一言です。34年も経って、かつての模型少年が宿題を一つ終えた気分です(まだまだ宿題は無限にありますが・・・)。

余談ですが、当時スケールアビエーションの文字原稿を書いていた、まさに2003年11月29日。日本のH2Aロケットは6号機打ち上げに失敗し、その事についても、短くスケールアビエーションに書きました。あれから1年3ヶ月、7号機の打ち上げに成功したその日にWeb上にこの拙作をUP出来る事を幸せに思います。

もう一つの余談です。この拙作は、誌上公開後、静岡タミヤ本社の歴史館に一方的に寄贈してきました。機会があればどこかで見られるかもしれませんね。

時は流れ、さらに1年後。かつての模型少年は、なぜかフロリダのNASAに行く機会を得ました。その模様も同時にUPしておきます(NEXTの矢印ボタンをクリックして下さい)。

(2005/02/26)


覚悟を決めてこのキットを作ります! ストレス無く、サクサク組みあがります。
着陸船のディテールは模型じゃないと表現できません。 90°回転させました。
このカタチは平面図を何枚見せても理解させるのは困難。 ぐるっと回ってきました。ノズル先端のみ開口。
クレオスの新色シルバー、「スーパーステンレス」を
エアブラシ。1本600円もするだけあってなかなかの発色。
ペイントマーカーのフラットブラックを全面に塗った後
エナメルシンナーを含ませた綿棒でエッジをこすると・・・。
単純にエアブラシを終えた段階。 薄く、やわらかく、光沢を持ちながら面に馴染みます。
折りたたみ式の脚は完成後も可動。 ひっくり返すとこうなります。
これがポイントのクリアーオレンジのエアブラシ。 ほぼイメージ通りに仕上がりました。
劣化が進んでいることと、新規に細かいマーキングもあり
デカールを自作。ミニサイズの星条旗に注目。
指令船の基本塗装を終えたところ。ミッションの号数
(アポロ○号)によって塗装(パネル構成)が異なる。
同じく「スーパーステンレス」をエアブラシ。 赤く小さな丸は自作デカールで処理。
フィギュアも丁寧に塗り分けると楽しい。 左肩の星条旗、パネルのNASAのロゴも自作デカール。


月面の表現は本当に見事です(もちろんキットのベースをそのまま塗装しただけです)。
ゴールドの立体文字はペイントマーカーのゴールドで驚くほどあっさりと塗り分けられました。
まさに月面に降り立つ瞬間!この出来でキット単体価格が当時250円というのは驚異です。
ポールは真鍮線。月面の星条旗、宇宙飛行士が背負った機材のロゴも自作デカール
指令船は渋めの塗装にしてみました。
扉を開くと3人の宇宙飛行士が見えます。驚くほど狭い船内です。