発売時期 | 発売時価格 |
1970/02 | ¥150 |
例によって、ホントに久々の更新で申し訳ありません。お詫びのしるしでもなんでもないのですが、当研究室助手の思い入れがひときわ高いミニジェット機シリーズの中からとっておきのアイテムをご紹介します。今となっては幻の(またか)ブリティッシュ・ファントムです。 ファントム実機に関しては助手ごときが今更説明するモノではないので多くを語りませんが、イギリス国防省はファントム採用に当たり飛行甲板の小さなイギリス空母でも活躍でき、なおかつ自国産業保護のため、エンジンをより強力なロールスロイス製エンジン(スペイ25R)に換装しました。そのためジェネラル・エレクトリック社製のJ79エンジンを積んだオリジナル機よりグラマラスなボディーラインになっています。 キットとしては直前の1969年12月に発売されたキットNo.13のF−4EファントムU(アメリカン・ファントム)開発時からタミヤにこの機体の発売が念頭にあったことは明かで、ミニジェット機シリーズで初めてランナーがAパーツ、Bパーツに分割され、部品共通化が図られました。すなわちスパローミサイルや燃料タンク、主脚などのBパーツが共通で、胴体や排気口などのAパーツがアメリカン、ブリティッシュそれぞれ独自パーツとなりました。ただし当初は混乱があったようで組み立て説明書に不備があり訂正表が入った時期がありましたが、すぐに修正されています。 成形色は、当初はシーブルーで発売されましたがその期間は非常に短く、すぐにガルグレーに変更になります。ビギナーや年少者には当時はまだ塗装の概念が浸透していなかったことを考えると、シーブルーというのはかなりいい線いっていると思うのですが、逆にガルグレーになったということは、それだけ塗装の概念が広まったという考え方もできると思います。しかし肝心のパクトラタミヤの発売が1971年11月ですから、このキットの発売時はレベルカラー(1969年発売)全盛ですね。 ブリティッシュ・ファントムの厳密な分類をしていくと色々なことがわかってきます。時代特定の1つの手段としてSTマークがあります。これはセーフティ・トーイの略で日本玩具協会が安全玩具と認定したものに1971年10月からつけられました。このマークが付いている物は、少なくとも1971年以降の製品ということがわかりますね。 タミヤのミニジェット機シリーズは箱の装丁が当初の上下箱からいわゆるキャラメル箱に変わりました。これは1974年1月21日の値上げ(当研究室では第4期と分類)の時と推定されます。当時小学生だった助手は「とうとうこの日が来てしまったか(半年足らずでミニジェットの100円キットが倍の値段だ)。ああ、それに箱の装丁も変わってしまった...」といった鮮明な記憶が残っております。例外はサンダーチーフで直前の1973年11月に発売になった時からキャラメル箱でした。タミヤニュースVol.42(1973/11)の新製品案内に載っていますので、「タミヤニュースの世界」をお持ちの方はp244をご覧下さい。 そのNo.26のサンダーチーフ発売以来、実質新製品の開発が止まりましたが、既存のキットは安定して供給されました。しかしMM冬の時代といわれる80年代を聞くことなく、1979年にNo.25のB−52Dを残してシリーズすべてが製造中止となったのです。このシリーズを一通り作っていた当研究室助手でしたが、未組立キットはほとんど保存していませんでした。いつでもあると甘く見ていたので、発売中止の声を聞いてあわてて捜し始めましたが、気が付いてみると全くといっていいほど店頭に残っていませんでした(田舎に住んでいたことも大きく、捜したといっても全部で10軒にも満たないのが行動範囲のすべてでした)。「これから長い旅になるなあ」と覚悟を決めたときにタミヤニュースVol.93(1980/03)に嬉しい記述。そう、再販のお知らせです。今でこそ再販というのは珍しくもないのですが、当時は製造中止となったら最後、2度と見ることはなかったのです。こうやって振り返ってみると製造停止からわずかの期間で再販が決定していますが、当時は長く感じられたモノです。行きつけの模型店に口予約(?)をしてすべて購入しました。 このシリーズの根強いファンは多かったらしく、その後何度も再販されます。再販初期の動機付けはなんといっても「エリア88」でしょう。1979年3月に連載が始まったこの秀作には助手も完全にはまりました。タミヤニュースVol.113(1981/09)の新製品案内には「エリア88の影響によりミニジェット機の再販を希望する声が多くありますので」とわざわざ断り書きまで付いて限定7キットが再販され、さらにその2ヶ月後にはジュニアニュースVol.112(1981/11)には「特に人気の高かったドラケンを追加販売します」とまで告知され、さらにさらにタミヤニュースVol.118(1982/01)にはラウンデルの愛機バッカニアの限定再販の告知まで載りました。 再販恩恵はその後も続きタミヤニュースVol.144(1983/11)には「S58年度限定再販」として21種類の再販が告知され、それまでの再販ではナンバー落ちしていたフィアット、ヴィゲン、イントルーダー、イリューシンが再販になりほっと一息。1986年にはBENホビーという形でも登場し、驚かせてくれました。金型は基本的にはタミヤに大切に保管されているらしく最近のタミヤモデラーズギャラリーでも白黒箱でイロコイスやメッサーシュミットが販売されています。 そんななかでどうしても再販にならなかったのが、このブリティッシュ・ファントムとスカイクレーンです。スカイクレーンは人気機種でもあったので割とその後も見かけたのですが、どうしてもマイナーだったこのブリティッシュ・ファントムはホントに見かけませんでした。実はこのシリーズをほとんど作った当研究室助手ですが、ブリティッシュ・ファントムとスカイクレーンとサンダーチーフは原体験で作っておらず、長い間探し続けました。結局初めてこのキットを入手したのは10年ほど前になります。しかしその後色々な方面から縁がありバリエーションも判明してきました。 皆さんの思い入れのあるミニジェット機は何でしょう?ご意見をお聞かせ下さい。
(*2)コンバットプレーンシリーズでの発売 (2013/06/09) |
初版はブルー系のモールド。左:Aパーツ、右:Bパーツ | すぐにガルグレーに変更。インストも修正。 |
上から古い順に積んでみる。ホチキス留めも注目。 | 3番目からSTマークがつく。 |
最終版はキャラメル(タイプ)ボックス。 | STマークはボックスサイドに付いた。 |
最終版の箱のウラ面カラーガイド。鮮やかで製作意欲もわいたはず。 |
重箱のスミですいません。 |