客員講師石黒氏とのメールやりとり(抜粋)


助手>

そもそもゴムキャタピラの素材が何か(NSRorBSR?)さえわかりません

講師>

恐らくNR(Natural Rubber)であろうと思われます。
ご存知とは思いますが、いわゆるゴムは主鎖中に二重結合を有するものが多く
それがゆえに架橋して弾性体を形成しています。

劣化という現象は空気中の酸素やオゾンなどが架橋に関与しなかった
大多数の二重結合にアタック、主鎖切断がおこることが主な原因です。
しかも厄介なことにそれらの反応はラジカル連鎖反応的に進行することがわかってい
ます。

そこでゴム製品にはポリマー主鎖よりも先に自らが攻撃を受け安定なラジカルを作る
アミン系あるいはフェノール系の老化防止剤が入っているのです。
また老化防止剤には製品表面にブルームして膜を作り物理的にオゾンなどを
ブロックするもの(WAXと呼ばれます)もあります。

ゴムキャタピラにも当然これらの老防が配合されていますが、
いかんせん低分子ですので表面に出て来たり(茶色く汚れたようになる)、
任務をまっとうしたりと時間がたつにつれて効果が減少することは
想像に難くないと思います。


みなさんわかりました?私は3回読み直して、ようやく学生時代の授業を思い出しました。
要するに大意として次のようになると思います(英文翻訳か?)

ゴムというのは顕微鏡で拡大してみると、無数の糸の様なものがが並行に並んでいます。それぞれが途中で隣の糸と橋を架けたように結び合って、丁度あみだくじのような形になり、それで全体が伸び縮みします。

劣化と言うのは、空気中の酸素などと反応し、その縦糸に当たる部分が切れてしまうのが主な原因です。しかも厄介な事に、一度切れ始めると連鎖的に進んでしまうのです。

そこでゴム製品には、あらかじめ別の反応をして酸素を寄せ付けない老化防止剤が入ったものや、表面に皮膜を作るものもあります。

ゴムキャタピラにもこれらの薬は入っていますが、いかんせん微力で、長い年数で効力が落ちてしまいます。