ポスター(1964)


タミヤの現在の信頼感は、単に模型本体の出来の良さだけで築かれたのではありません。アフターサービス、広報活動、市場調査、振り返って研究してみるに驚くほど緻密に活動しています。それもプラスチックモデルメーカーとして転身した当初からです。ここでは当研究室が現在保存している最古のポスターを公開します。画像が200kbを越え、重くなっているのをお許し下さい。

1/35パンサータンクの大成功以来、売れに売れた戦車のラインナップが揃い、1/21、1/35、ワールドタンクシリーズと3つのクラス分けも出来ています。専門家の評価も高かった1/50日本傑作機シリーズや可動ギミック集大成のオートマチックジャガーと合わせて堂々のラインナップです。「作ったのはどれとどれ」のキャッチコピーでおもちゃ屋に貼ってあれば子供達の間で「あれは作った」「これを作るぞ」と大評判になった事は想像に難くないところです。

注目は1/35シリーズの新製品として「アメリカ軽戦車デストロイヤー」が紹介されていることでしょう。丁寧に1/35としての模型寸法や「TKK25モーター、単2電池x2使用」とまで書かれ、明らかに模型化しようとしていたことが判ります。事実、この記述は1964年版総合カタログにもあります。しかし実際は発売されず、空白となったキットNo.10にはスピード競技M41が急遽入った事は以前お伝えした通りです。新たに集めたであろう膨大な資料はポケットミュージアムシリーズのT92デストロイヤーに活かされました。また単なる印刷ミスとしては、ワールドタンクシリーズのスターリンとクルセーダーの名前が間違って入れ替わって印刷されています。

ちなみにこの写真ではわかりにくいと思いますが、パットンとブルドッグはなんとポリキャタピラ!(当然オリジナルはゴムキャタピラ)です。これについて以前社長にお伺いしたところ、「いやあ、間に合わなくてねえ、○○社のキットを撮影して使っちゃったなんて事もあったんだよ」「...」キャタピラだけかと思ったらパットンなどはスプロケットホイルまでナニなんですねえ。いや、よく見ると...35年前のことです、はっきり言って時効です。

ところで一番下の日本軍兵士のイラストは小松崎茂画伯ですが、右の人物の乗り物は続々と発売されていたのに、左の人物はこのあと更に10年も待たなくては乗り物に乗れませんでした。