ミドリ
インスタントタンクシリーズ


発売時期 発売時価格
1965 ¥50



「工事中」というマークはどこのHPにも見かけます。当研究室にも長らくそのままというのがいくつか存在しますが、今回ようやく長期工事が完了した部門を公開します。いわゆるミドリの50円戦車シリーズです。

ミドリというメーカーに関しては既に「プラモデルの王国」の中でねこにいプロダクツさんが「緑商会研究のページ」という素晴らしいページを開設なさっておりモチは餅屋なのですが、当研究室助手がことさら思い入れのあるこのシリーズは是非こちらで紹介させて下さい。

小学生の頃誰もがプラモデルの入門に作ったのは安価なキットだったはずです。このシリーズはまさにそのジャンルの優等生でした。ミニスケールのAFV(当時はこんな言い方はしませんでしたね)キットの歴史は意外に古く、日本ではマルサンやサンワがHOスケール(1/80〜1/87)として1960年代初頭に数多くのキットを世に送りました。内容はROCOのデッドコピーと思われる物がほとんどで、さらに当時の世相を反映して米軍ものが中心でしたが子供達に大歓迎されました。そして一歩遅れて1965年に1/76スケールという一回り大きなスケールで参入したのがミドリです。内容は同じくROCOやエアフィックス社のキットを参考にしたものが多かったのですが、抜群のプロポーションを持っていました。ディテールも素晴らしくアイテム選定も秀逸で、現在においてもこのスケール唯一のキットというのがいくつもあります。

大前提に「年少者向け」というのがあったため、必須条件の「動く」ことを安価に取り入れることを考えると出てきた結論の「フリクションタイヤ走行」は、当時の子供をしても「なんだかなあ」と思ったものです。しかしそのモールドの素晴らしさに、初めて触れた“スケールモデル”といった感じがしてなんだかちょっとオトナになった気がしたのも確かでした。数年後に発売されるフジミのナナロクジオラマブームの魁にもなったシリーズです。事実、当研究室助手は混合して楽しんでました。

キットは箱の横にシリーズの他のアイテムが印刷されており、「揃えなきゃ」病を簡単に発症させるものでした。当研究室助手が育った環境が田舎だったためか、ヴィルベルヴィンドと四式中戦車がどうしても売っていなく(今考えれば、単に誰かが先に買ったに過ぎないのでしょうが)焦った覚えがあります。結局後にヴィルベルヴィンドは見つけたのですが四式中戦車に至っては手したのがなんと今年(2001年)ですので、ほぼ30年ぶりにノドのつかえが取れた状態です。

このキットは当時から海外にもAHMブランドで輸出され、ミドリが廃業した後は例によって童友社の「チョロタン」ブランドでも発売されました。

おそらく当研究室を訪れる方には原体験十分のシリーズかと思われます。まだまだ研究不足な面が多々あるのですが、今回長年の夢がかないシリーズコンプリートに達しましたので、ここに公開させていただきます。今後追加研究発表の予定もあります。皆さんからの思いをお寄せ下さい。

(2001/09/23)


四式中戦車。フリクションタイヤ走行に注目。