スカッド B
(「動く戦車オフ会2003」参加作品)


やれば出来るんですね(^_^;)

ゴムタイヤの質感がいい感じに・・・ 電動でミサイルが起き上がります(これをやりたかった)。


このキットの製作には色々と考えさせられました(^_^;)。ドラゴンの1/35スカッドBです。

そもそものきっかけは今年9月、「某国の軍事パレードに今年スカッドミサイルが初登場する可能性がある」という情報でした。既にシルクワームミサイルキャリアやノドン、テポドン(国名がわかりますよね)の1/72スケールの模型完成品は用意してあるのですが、スカッドミサイルの1/72の模型はありません。調べてみたのですがインジェクションキットではこのスケールで発売されていないことがわかりました(ARMO社からレジンキットが出ていたことが後日判明)。このスカッドの1/72の模型をよりによって「丸1日で(暴挙)」作ろうという神をも恐れぬ話だったのです。「おそらくボンネットトラックタイプのトラクターがミサイル本体をキャリアに載せてけん引するのでは」という想定のもとに、ミサイル本体をフルスクラッチすることにしました。そこで「図面を引くよりドラゴンの1/35スカッドを見ながら縮尺したほうが簡単」ということで“資料として”購入したのがこのキットだったのです。こういった無理難題の話に頼りになるのが個人模型専門店でして、いつもの学芸大学の「たくみ」におじゃましました。ミサイル先端の円錐部分はこれを削ればいい感じということで「たくみ」の奥様が使用中のマニキュアの瓶のキャップを頂いてしまい、ご主人からは1/72トランペッター社のボンネットトラックまで頂戴してしまいました。100円ショップでちょうどの太さのステンレスパイプを発見して購入し、徹夜でガシャガシャやっていた明け方に「実は10年前のパレードで既に登場していた。某国がその部分の映像を編集でカットして配信していたのだが、つぶさに画像解析すると映っていた。それもドラゴンのキットと同じ純正タイプで、ボンネットトラックでけん引なんてしていない」ことが判明。さすがにドラゴンのキットと同じ物を1/72でフルスクラッチなんて出来るはずが無いので、暴挙もここで無事頓挫したのでした。

そんなわけで手元に大きなドラゴンの1/35キットが残りました(ミサイル本体のみ参考に組み立て済み)。丁度同じ時期に「今年の動く戦車オフ会にはシングルレースでナニを出そうかな〜」と考えており、ハタと目の前にあるキットに目が行ったわけでした。「このままだと、このミサイルだけ組んだ不完全キットは富山ブラックホールへ行ってしまい、2度と日の目を見ない可能性が高いぞ」「まてまて、仮にも“タミヤ”の看板を掲げているのにドラゴンのキットで勝負していいのか?」「最近のドラゴンはそうでもないらしいけれど、このスカッドのキットはよりによって1992年発売なので、単純に組もうとするだけでもパテ埋めの嵐でとんでもないことになるぞ」「そんなキットを動かすのか?8輪駆動?ミサイルも電動で起き上がるのにしたいぞ」「タイヤはゴムではなくて完全なインジェクションパーツだぞ、どうするんだ?」と葛藤は続いたのですが、腹は決まってしまいました。リモコンバトル用のT-10スターリンの完成を待って取り掛かるつもりだったのですが、ことのほかT-10に時間がかかり、取り掛かったのはオフ会の11日前でした(^_^;)。

どのように走らせ、どのように光らせ、どのようにミサイルを起き上がらせるか・・・テキストは無いのですべてが試行錯誤です。通勤時間や食事時間、勤務中でもアイデアが浮かぶと紙に書き留めました。例によって途中経過を毎日TOP画像で更新することにより自分を追い込みました。「あれは撮り貯めた画像を後からUPしているんでしょう?」と何人にも聞かれましたが、掛け値なしのリアルタイム画像でした。でもナニを作っているかわからなかった方が多かったようですね。

オフ会当日の朝4:00に、ようやく無塗装状態で完成。それからつや消し黒で下塗りエアブラシをして乾燥する間に1時間半ほど仮眠を取り、あとは当日の10:00までひたすら塗装を繰り返して、ハンドキャリーで会場に持ち込みました。


当研究室TOP画像の振り返り

10/23(木) あと11日
科学模型教材社、秋葉原、東急ハンズなどで調達
10/24(金) あと10日
「メディコム」社の「スーパーラバースプレー」。スグレモノです
10/25(土) あと9日
ふとひらめきました。「そうだミニ四駆のパーツを・・・」
10/26(日) あと8日
本体の素組みは難航中
10/27(月) あと7日
「8WD」大成功!とりあえず肩の荷が下りました
10/28(火) あと6日
第2の難関である「電飾」は頭が痛い・・・
10/29(水) あと5日
LEDのソケットを作り、アルミ箔で遮光し、光ファイバーで・・・
10/30(木) あと4日
第3の難関であるキャリアの起き上がりギミック
10/31(金) あと3日
ギャー!仕事と飲み会で帰宅が27時!何も出来ない・・・
11/01(土) あと2日
宮崎アニメに出てくるナニかみたい・・・もう悟りの境地(^_^;)
11/02(日) あと1日
これは28:15の状態です。これから仮眠
11/03(月)
夢にまで見たこの画像・・・


「8WD」「電飾」「ミサイル起き上がり」の3大ポイントに「塗装」を加えて合計4つのヤマをいかに乗り越えるか計画を立てたのですが、大幅にスケジュールが遅れました。

「8WD」は当初プーリーで動力を伝えるつもりでしたが、コースにあると噂される急坂(テルスター坂)を乗り越えるトルクに自信が無く、確実に伝えるクラウンギアにすることに変更しました。まさに一つ一つ現物合わせでミニ四駆よろしく作っていくわけですが、ここで小さなミスを発見。ピンク色のクラウンギアは同じ方向に配置するとタイヤが前輪と後輪で逆の方向に回ってしまうんですね、小さなことですが勉強になりました。今回のスカッド可動計画は「超汎用ギアボックス」があって初めて実現した物です。可能な限りコンパクトにまとめながらも十分なトルクがあります。今回は実車のことを考えてさらに2枚のダブルギアで減速させることにしました。こういった位置決めはとてもナーバスなのですが、超汎用ギアボックスはヘッドが動きますので簡単に合わせられます。

実際に走らせるとなると、キットのプラスチックパーツ製のタイヤが大きなネックになります。当初は市販の模型工作用のトラックタイヤが直径がぴったり同じだったので、厚さを稼ぐ為に輪切りにした物を2枚重ねにしようとしたのですが、一つのタイヤを作るのに1時間以上かかってしまうので断念。しかしこの問題も「メディコム」社の「スーパーラバースプレー」という商品で解決しました。簡単に言えばまさに字の通りラバー(ゴム)のスプレーです。メーカーに問い合わせると電話に出た担当の方が「私もまさにプラモデルのタイヤに使っています。スモークのスプレーは4〜5回吹き重ねるといい感じのツヤ消し黒になりますよ」との答え。スケジュールが押してきて、これを使ったのがオフ会前日の夜から当日朝という綱渡りでしたが、結果は素晴らしい物でした。東急ハンズ渋谷店にはありますので皆さんに是非お勧めします(^_^)。

「電飾」には本当に苦労しました。当初はムギ球を使おうと思っていたのですが、東急ハンズで綺麗なLEDを発見。「これは秋葉原のパーツショップに行けば・・・」と考えて早速向かいます。久々に“濃い”体験をしてきましたが、あの空間は本当に侮れませんね。同じパーツが隣のお店で値段が倍になったり、日曜日は一部の店が閉まっていたり、挙句の果てにはウソを言われたり・・・。結局、極小スイッチ類も含めて多数購入し、使わないパーツが続出してしまいました。ハザードランプを点滅させたいのですが、驚いたことに特別なシステムを組まなくても電源を繋ぐだけで自動点滅するLEDがあるんですね(そのミチの方には当たり前かもしれませんが、ワタシとしては「タミヤ自動点滅回路セット」なんかがすり込まれているもので・・・)。しかしこの自動点滅LEDは直径5mm以上の物しかなく、それより小さいものはありません。そこでお店のお兄さんに何気なく教えてもらったのが「簡単だよ、回路の中に5mmの点滅LEDを直列でかませればいいんだ」ということ、目からウロコですよね。これによりテールランプの直径2mmの赤色LEDまで点滅させることが出来ました。本体運転席左右についているウインカーには1mmの光ファイバーを通し、内部に仕込んだ5mm赤色自動点滅LEDに繋げば、極小ウインカーまで点滅します!

当初は3VをLEDの電源にするつもりでしたが、使いたい自動点滅LEDは3.6V以上でないと反応せず、お店で一目ぼれした高輝度LEDも使いたいな〜と考えると電源には9V電池しかありません。そうなると今度は電圧が高すぎるので抵抗で落とすことになります。「すいません、9Vを3.6Vに落とす抵抗を一つ下さい」なんてお願いすると、タカタカと電卓を叩いて「はい、これ、10円」なんて言われるのは嬉しいですね。しかし結果的には大量の(都合10個)LEDを光らせることになり、2V、3V、3.6V用LEDが混在したので、現物合わせで直列、並列を組み合わせて試したら抵抗は使わなくても回路が組めました。オフ会会場では「おお〜!この高輝度LED、高いんですよね〜!1個\1,500くらいするでしょう?」と驚かれたのですが、私が買ったお店では1個\350でした。きっとここ数年で劇的に価格が下がっているのでしょう。自分としては\350というのはとんでもなく高価格と思っていただけに、そんな話を聞くと「安いのかな〜」なんて思ってしまう単純な頭です(^_^;)。

「ミサイルの起き上がり」は構造をいくつもいくつも考えましたが、やはり一番シンプルで確実なテグスで引っ張る方式に決めました。出来てみればなんでもない仕組みなのですが、巻き取りプーリーの位置、減速ギア比、もう一つの超汎用ギアボックスの設置場所など試行錯誤の連続でした。ミサイルが垂直になったところで自動停止させたかったのですが、アイデアも時間もなく、またそもそも電源を置く場所が無かったので外部電源としました。これによりリモートコントロールでミサイルを起き上がらせることが出来ます。オフ会4日前の深夜にテストして、ゆっくりゆっくりキャリアが立ち上がったときは思わず感動で声を出してしまいました。意外なことにオフ会会場では、どなたもテグスの存在に気付かれなかったようです。

製作過程では予期せぬトラブルが多発しました。運転席キャビン組み立て中に先端をがっちり固定してあった光ファイバーが途中でポキリと折れてしまいました。固定に使った瞬間接着剤がどうも原因のようで、普段は“しなり”があるファイバーの材質が変わってしまったのか、程なくもう片方の光ファイバーもポキリと折れてしまいました。既に箱組みの運転席キャビンは隙間のパテ埋めまで終わっているので、今さら解体も出来ずあきらめるしかありません。かくして運転席中央では完全に遮光された5mmの点滅赤色LEDが虚しく光っていることになりました(11/01のTOP画像で、中央に黄色のマスキングテープで止められています)。

奇跡的に間に合ったオフ会当日・・・慢性的な睡眠不足でハイな状態で会場に到着しました。そしてあっという間に自分のデモンストレーションの時間です。ところが・・・・・当日数時間前にはシャラシャラ回っていた8輪のタイヤが「ガガガガッ」という鈍い音を立ててひっかかって回らないではありませんか!必死に微調整をしたのですが間に合いません、やむなく干渉していると思われる第2中間シャフトを取り外し、前方4輪の4WDでデモ走行を乗り切りました(平らな場所なので大差なかったと思います)。しかししかし、肝心のシングルレース直前に微調整を試みたところ、なんと前方4輪でさえ不整地では「ガガガガッ」と干渉することが判明、やむなくクラウンギアを使わない前方2輪の2WDになってしまったのです。いよいよ本番、スタート前にミサイルキャリアを電動で起こすデモンストレーションをして機運を高めましたが、スタートしてわずか15cmほど(この数字も怪しい)で、穏やかな凸凹地に入り、第2列タイヤで接地して第1列タイヤがほんの少し浮き上がったところで、すべての動力が空転して競技終了となってしまいました(ioi)。

後日よく調べてみたのですが、そもそもこのキットのフレームが可動を考えて設計されていないのに(あたりまえ)、補強を怠った為、いたるところでちょっとした力が加わると歪が出ることが判明しました。いかにテストで8輪が気持ちよく回っていても、実際にモーターやバッテリーといった重量物を積み、何よりもラバースプレーをまとったタイヤの負荷まで考えてのテストは全くされていなかったのが現状です。この構造ではたとえフレームを補強したとしても難しいかもしれません。そんな中、会場で「ウォームギアにしたらどうですか?」というアドバイスを頂き、目からウロコが落ちる思いでした。シャフトが1本縦に走りウォームギアが4個ついている、各タイヤシャフトにはスパーギアが付いて・・・という簡単な構造が、ひずみなく動力を伝えられそうです。いつの日にかリベンジを・・・と誓ったのでした。

「田宮模型歴史研究室」にドラゴンの作例・・・。確かに出来上がってみると本当に魅力的なアイテムです。しかし今回の一連の製作過程において“組み立てやすさ”がいかに大切かを身をもって知りました。私の未熟な製作技術を差し引いても、たとえば運転席の箱組みは接着ガイドが機能しません。仮組みをして微調整すれば済む事と言ってしまえばそれまでですが、少なくともタミヤのキットでは全く考えられないことでしょう。「レジンキットだと思えば腹も立たない」「万人に作れず、かなりの修正技術が無いと出来ないキットだからこそ、完成すれば威張れる(?)」と口の悪い人は言いますが、なんだか納得してしまいました。

「こういうキットを作った後は、タミヤのキットが作りたくなりますね」という言葉で結びとさせていただきます(^_^)。


8WDのピニオン縦軸シャフトにはこんなものを使いました ピンク色のクラウンギアは表裏互い違いに入れないと・・・
メインエンジンの超汎用ギアボックス
ギアボックス外にダブルギア2枚を使ってさらに減速します
タイヤは当初直径の同じ市販のトラックタイヤを削って
2枚合わせて作ろうとしましたが・・・
新兵器「スーパーラバースプレー」を使用することに決定し、
ホイルにつやあり黒を吹いてマスキング
オフ会前日の22:00過ぎから早朝にかけて
5度吹きで仕上げるとこの通り
ツヤの消え具合もリアル!もちろんグリップ力も完璧
モールドが消えてしまうのもそんなに気になりません
慣れないLEDの配線略図。メインバッテリーは9Vとし、
現物合わせで直列か並列かそれぞれを決定
ミサイルが起き上がるヒミツ・・・見えます? 見えますよね?
3枚のダブルギアで減速された先に黒いプーリー そのプーリーから車体後部へテグスが伸びて・・・
もう一つの超汎用型ギアボックスをさらに大幅減速して
プーリーで巻き取ります(9V電池は電飾用)
ミサイルの起き上がり用モーターの電源は
ジャックで差し込む外部電源型
こちらには単4電池ボックスと逆転スイッチが 手前の丸いボタン2つが電飾用、後方が走行用スイッチ
キットのパーツが太いので、真鍮線をハンダで・・・ こんな感じになりました
いよいよ夢のオフ会のシングルレースに出場!
お隣はGamoさんのM88A1マインローラー付き
強そう!どんな悪路でも走破しそう!
ブルーライトもかっこいい・・・
スタート15cmで第1タイヤが浮き上がりオシマイ(ioi) 皆さん、今年もありがとうございました!