05月14日(金)
<あと01日>

夢の静岡(1)

静岡のビジネスホテルの一室にて・・・。


目覚めたのは朝5:00・・・。
起きたのは静岡駅に程近い某ビジネスホテルの一室。
今日は金曜日。
そう、業者・関係者招待日の2日目であり、一般公開日の前日。

当研究室助手は確かに前夜遅くに静岡入りしましたが、肝心のフルスクラッチ軽装甲機動車はホテルの一室に置いたまま外出しているので、前日の段階ではどなたにも披露しておりません。そして旧交を温めるだけのはずだった前夜のお食事会でご一緒させていただいた某「G」さん(静岡在住)とフルスクラッチ談議に花が咲き、なんと深夜に某「G」さんの御自宅にお邪魔して、ハンダごてを借りてからホテルに戻っていたのです。

確かに朝5:00に目覚ましをかけていましたが、ベルが鳴る前に自然にベッドから起き出し、部屋の小さな机に向かっていました。「とにかく最後の最後まで出来る事をやるんだ・・・」何かに取り付かれたように燃えていたのです(^_^;)。決して重装備ではないですが、何かが出来るようにと最低限の材料と道具を東京から持ち込んでいました。前夜の食事会で盛り上がったのは、真鍮棒をT字型にハンダづけして汎用フックを作ること。何かのためにと0.8mmの真鍮棒を何本か持ち込んでいたのですが、実際にここで合わせてみると太すぎてスケールオーバーになることがわかり、涙を飲んで断念するしかありませんでした。そこで細部写真のファイルを見ながら他を探し、ディテールアップをするのは前輪タイヤハウスに決めます。慎重に寸法を測りながら現物合わせでプラバンからパーツを切り出します。朝食に飲んだ牛乳パックを切り開いて良く洗い、カッティングマットの代わりにしました。

せっかくお借りした道具だから・・・とハンダごてをここで使ってプラバンを曲げ、所定の位置に接着し、さらにラバーシートも接着します。これまた持ち込んでいた極小リベットも大きさを見ながら所定の位置に接着すれば、グッと見栄えが良くなりました。作業をした量は決して多くないのですが、“静岡のホテルでも作った”ということに意味があります。かつて高校時代に、通学の乗換えで一駅だけ列車に乗る路線があったのですが、「この一駅の区間で英単語帳を開くかどうかで大学合格が決まる」な〜んて先輩に言われた事をなぜか思い出し、一人自分に酔っていたのでした(^_^;)。

そして午前9:00、作品を持っていよいよホビーショー会場に向かいます。この日はまだ業者・関係者招待日ですが、アーマーモデリングのライター(一応)という肩書きで中に入ることが出来ます。一般公開日前ですので、フルスクラッチ軽装甲機動車を展示する場所はありませんが、お世話になった方に事前に見ていただこうというのがこの日の大きな目的です。携帯電話で連絡を取っていたので、会場でまず金子さんに会えました。そしてすぐにDr.スクラッチさんにも会えたところでお二方に初めて披露します。場所はタミヤの某氏のご好意で、タミヤブースの裏側に入れていただきました。

思えば、こんな神をも畏れぬ事をやろうとしたのが、かれこれ2ヶ月以上前。すぐに一緒に朝霞へ取材に行ってくださった金子さん、そして殆どの工程で電話でメールで相談に乗り続けていただいたDr.スクラッチさんのお二方に直接披露する瞬間がやってきたのです。

「えっと、実はターンテーブルを用意しまして・・・」な〜んて言いながら自分を落ち着かせ、いよいよ作品をRCバッグから取り出します。「お〜ッ!」「うお〜っ!」「これは凄いわ!」「やりましたね〜!」・・・一番見てもらいたかったお二方に見てもらえたので、正直、本来の目的がすべて達成された気分になりました。当研究室助手がフルスクラッチでこんなものを作ってしまい、自分にとって神様であるお二方に褒めてもらう・・・半年前でさえ、誰がこんなシチュエーションを想像したでしょう?

そして勢いとは恐ろしい物で「俊作社長に会いました?見てもらいましょうよ!」と、そのままタミヤブースの奥に行ってしまいました。俊作社長は、当研究室助手が軽装甲機動車をフルスクラッチしていたのはご存知だったようで、入っているRCバッグを見ると「これですか、いや〜凄いバッグに入っているね!」とおっしゃり、中から真っ白な軽装甲機動車が出てくると「う〜ん、凄いね」と驚いてくださいました。かつての模型“少年”にとっては、自分の作品をタミヤの社長に見てもらい、なおかつ褒めてもらえるというのは究極の夢です。モリナガ・ヨウさん言うところの「模型少年のアガリ」とはまさにこんな事を言うのでしょう。この2ヶ月あまりの苦労など一瞬で吹き飛んでしまいました。

「ウチの軽装甲機動車は見ました?」「は、はい!」・・・そうです、今回の静岡ホビーショーの目玉はなんといってもタミヤの1/10RCと1/35の軽装甲機動車です。なんと社長に連れられタミヤ展示ブースを見に行くという流れになってしまいました。1/35軽装甲機動車は、ただただ唖然。こちらのフルスクラッチ軽装甲機動車では、採寸・図面引きから始まり、厚紙モックアップ、角度を決めてのビス留め、表面処理と2ヶ月近くかかったボディーが、なんと1パーツの一体成型です。しかも極小リベットが省略無く再現されています。それどころか例のドアのギザギザリムも全て再現されているではないですか!!「こちらは2/23スケールだけれど、無理をしてでもギザギザリムを再現しておいて良かった〜。なんといっても1/35なのに全部出来ているんだもんなあ〜」。さらに驚いた事にボンネット部分の滑り止めのザラザラ処理までしっかりと分割してモールドされているではないですか!「これを買って作る人は、なんと幸せな人なんだろう・・・タミヤのプラモデルは改めて偉大だなあ〜」今まで思ったことも無かった視点で見ることが出来ました。

そして一時期亡霊のように頭を悩ませた1/10RC軽装甲機動車ともついに対面です。ハマーのシャーシを使い、見るからに“走り”そうです。走行に徹するために、衝撃に強いポリカーボネート製の一体成型ボディーとなるのはある意味当然です(他のRCカーもほとんどポリカーボネート製です)。ディテールは高品質ステッカーの印刷で処理されていました。

夢のまた夢・・・。いよいよ明日から始まる一般公開日で、全国の模型サークルの合同展も行われます。この金曜日の夜から全国の模型ファンも続々と集まってきます。しかし当研究室助手は、なんとこの日の夜に一旦東京に戻る事になっていたのです。理由は簡単、翌日の土曜日の朝3:00からどうしても外せない仕事が東京であったからです。

壊れ物でもあり、何といってもかさばるのでフルスクラッチ軽装甲機動車は静岡に置いていけば良さそうなものですが、しっかりと東京に持って帰ります。それは「少しでも時間があるのなら作り続ける」決意に他なりません。ホビーショー会場を出る時に立ち寄った大日本絵画のブースで、発売されたばかりのアーマーモデリング誌の最新号(Vol.56)を頂き、帰りの新幹線の中でずっと読んでいたのですが、あるページを見て一瞬にして釘付けになってしまいました。「こ、これは!(byタミフネさん)」

(2004/10/19)


朝食に飲んだ牛乳パックを切り開き、カッティングマットに。 静岡在住の某「G」氏の御宅で前夜借りたハンダごて。
前輪のタイヤハウスはこんな具合が↓ 後方から見るとこんな感じだったのが↓
実際にラバーシートも使って泥除けを自作。 極小リベットパーツも持ち込んでいました。
金曜日の朝にホテルで作業を終えて・・・。 ついにホビーショー会場へ出発!
ホビーショーのタミヤブース裏にて
お世話になった金子さんとDr.スクラッチさんに
初めて見て頂き、当研究室助手至福の時。
そして、なんと!!
田宮俊作社長にも見て頂く事になってしまいました
模型少年のアガリ(byモリナガ・ヨウ)か!?
初公開のタミヤ1/35軽装甲機動車!
なんといっても一体成型のボディーに唖然。
こちらは2ヶ月近くかけて作ったのに、1パーツ!!
1/35スケールでのこの精密さに絶句。
2ヶ月以上この車両と携わってきただけに
タミヤの偉大さを本当に身にしみて感じました。
1/10RC軽装甲機動車はポリカーボネイト一体ボディー。 クラッシュを恐れることなく、走りに徹することが出来ます。