05月11日(火)
<あと04日>

ボディー細部パーツの自作(5)

原寸に引いた図面にあわせて慎重に曲げます。


報告が遅れていましたが、数日前からはっきり覚悟していることがありました。それは「完成させ、塗装も終えた状態で静岡に持って行くのは無理だ(涙)」ということです。さしたる塗装技術も無いので、「サーフェイサーとフラットブラックの下塗りをしたとしても塗装は丸1日(!)あれば出来る」という神をも畏れぬ開き直りはありましたが(事実、スカッドミサイルでは数時間で終了)、流石に本日中に塗装以外全てを終えるのは無理です。「どこまで出来るかわからないけれど、最後の最後の最後まで作り続けよう」との固い意思で進みます。しかしそんな時に限ってとんでもない無為な時間を過ごしてしまうものです。この日がまさにそうでした。

まず取り掛かったのは後部ランプです。ここにはウインカー、ストップランプ、バックランプの3種類のランプが埋め込まれています。透明パーツで一体化して作り、クリアーレッドとクリアーオレンジで塗り分けるという考えもありますが、今回はそれぞれ透明カラーアクリル板で作ってみることします。幸いな事に東急ハンズで、そのものズバリの色のクリアーレッドとクリアーオレンジのアクリル板を発見し購入してありましたが、問題はこの時点で発生しておりました。実はこのアクリル板、1枚\145と決して高額な物ではなかったのですが、「実際に使う量を考えるとなんともムダの多い素材だな〜、そうだ!オレンジやレッドは仕方ないとしても単なる透明板なら、フロッピーやCDケースが使えるぞ!そうだそうだ、無駄なお金は1銭も使っちゃいかん!」と一人悦に入っていたのでした。

アクリル板はプラバンなどに比べると、はるかに硬い素材でして、Pカッターでけがいてもほんの少ししか削れません。しかし他に切断する術を知らないので(これも翌日、別の方法に気付きますが)、ただひたすら何度も何度もけがいて切断します。そしてこの時点で重大な欠陥に気付いていました。オレンジとレッドのアクリル板の厚さは2.15mmなのですが、フロッピーケースから切り出した透明板の厚さは、何度ノギスで測っても1.65mmしかないのです。とりあえず瞬間接着剤で3種類のチップを接着しますが、ちょうど0.5mmの厚さの差はいかんともしがたいものがあります。当然ヤスリで削って平らにするしかないのですが、ここでアクリル板の硬さをイヤというほど知らされました。こんな小さな物でもアクリルを平ヤスリで0.5mm削るとはいかに大変か・・・やった人にしかわからないと思います(涙)。1分1秒が惜しい時に、たった\145をケチったばかりに・・・(再涙)。

実車では車体後部にラバー製のドロよけが付くのですが、ここでも同じ素材であるラバーシートで再現する事にしました。その取り付け基部は薄い金属板が必要です。そこでアルミ缶からパーツを作ってみる事にしました。とりあえず金属バサミで切り出してみるのですが、これまた硬く使い勝手が良くありません。そこで100円ライターであぶってみると、表面のコーティングがすべて焼け落ちて真のアルミ素材だけになり、格段に使いやすい素材に変わりました。

次に車体後部のパイプフレームの製作に入ります。これに関しては3月の朝霞での“試作車両”取材で大量の写真を撮影し、各長さもすべて測定し完璧なはずでした。しかし、改めて図面を起こしてからサマワの“イラク派遣車両”の画像を見ると、なんだかイメージが違います。よくよく見るとサイドのパイプフレーム前方は“試作車両”では垂直に立ち上がって最後に斜めになっているのに、“イラク派遣車両”では垂直に立ち上がってすぐに斜めになっていることがわかります。またセンターのパイプフレームも中央部分の作りが両者で前後逆に膨らんでいることも判明。つまり全くの別物。少ない資料で図面を引きなおしました。

当初、タミヤから出ている透明のソフト丸棒(熱をかけなくても自在に曲がる)で作ろうと思っていたのですが、完成後の強度と、何よりも透明素材の接着に自信をなくしており(笑)却下。単純にスチロール樹脂素材のタミヤ3mm丸棒を使う事にしました。ちなみに実車の数値から縮尺を計算すると測ったように直径が3mmと出た時には、またまた「神様はいるなあ〜」と思いました。丸棒を曲げるのはローソクの火であぶるという古典的手法。原寸図面に何度もあわせながら慎重に進めます。最初の数本はボツになりましたが、慣れてくると意外に簡単に作ることが出来ました。

ここでも余談が一つ。実車はこの部分は文字通り“パイプ”で出来ているわけですので、サイドのパイプフレームの後端は穴が開いている部分がむき出しになっています。これを再現するために、この部分だけ3mmパイプを繋ぐ事にしました。センターを出すために芯棒に2mmの真鍮棒を埋め込みます。ニードルでセンターにアタリをつけ0.5mm→1.0mm→2.0mmとピンバイスで穴を広げて、2mm真鍮棒を差そうとした時にある事に気付きました。「この穴でいいんじゃないの?」

そもそも「3mmの丸棒に2mmの穴を正確にあけられるわけが無い」と勝手に思い込んで進めていた工程でしたが、考えてみれば最近では1/76スケールの機銃の先を開口するくらいですので、なんでもないことです。1本目はパイプを継ぎ足す前提で短く切断した後でしたが、幸いもう1本は切断する前でしたので、こちらは単純にピンバイスで開口したのはいうまでもありません。かくして無塗装状態では左右のパイプフレームの後端付け根の処理が、片方だけ透明という不思議な事になってしまいました。静岡でこの事に気付いた方は、まずいらっしゃらなかったと思います。

(2004/09/26)


問題の透明カラーアクリル板(1枚\145)。
透明はフロッピーケースで代用しようとケチったばかりに・・・
Pカッターで何度も何度もなぞって切り出して瞬着で接合
厚さの違いをひたすらひたすらヤスリで削りました。
庶民の味方発泡酒のアルミ缶を切り出して
100円ライターであぶって表面のコーティングを焼き切ります
ヤスリで磨いたアルミ板を加工し、ドロよけの基部に。
後部ライト類はkotobukiyaノズルセットをベースに自作
アルミ板で、なかなか良い感じに固定できました。 例によって後日静岡で見た“量産型”実車画像。
いよいよパイプフレームの製作に入ります
3月に朝霞で取材した“試作車両”の画像は沢山あります
この“試作車両”では、パイプの太さ、各長さ、全て測定し
「完璧」のはずでした・・・。
サマワでの“イラク派遣”実車画像。ん?何か感じが違う? なんと、すべて「別物」のデザインでした。
新しく引いた図面に合わせて慎重に・・・。 3mm丸棒の楽しい工作。意外と失敗無く出来ました。
仮置き。やはり表情がガラリと変わります。
左右のパイプフレームの後端に注目。
問題の3mm透明パイプ接続部。
中心には2mmの真鍮棒が入っています。