エーダイ1/76・W号戦車ファミリー


発売時期 発売時価格
1973/01 各\100



当研究室は月刊アーマーモデリング誌に同名の「田宮模型歴史研究室」という連載記事を持っております。この雑誌はかつて隔月刊でしたがエキストラ号を4回重ねてから月刊誌になった時に編集長と相談し、他社のAFV模型の歴史も紐解きたいということで「戦車模型歴史研究室」を開設することになりました。この結果、2002年9月号から奇数月号(発売は偶数月の13日ですからややこしいですね)に「戦車模型歴史研究室」を載せ、偶数月号はこれまで通り「田宮模型歴史研究室」を連載することになりました。

「戦車模型研究室」は別表にある通りミドリ1/76、ミドリ1/40と進み、2003年8月現在エーダイ1/76の迷宮にはまり込んでおります。エーダイの1/76ミリタリーモデルシリーズは全部で13種類あるのですが、なんと5回に分けて連載することになり、これだけでも10ヶ月を要することになってしまいました。1回目、2回目の連載は素組みのサーフェイサー吹きで紹介したのですが、今回の3回目はW号戦車ファミリーですのでサーフェイサー吹きでは4種類の変化が余りつきません。もともとプロポーションやモールドが素晴らしいのはわかっていましたので、思い切って塗装作例を僭越ながら載せていただくことにしました。

簡単に「載せていただく」といっても、現在の日本のAFV模型紹介ではトップを走るアーマーモデリングですので、他のページにはプロの方々を始めとして数々の素晴らしい作例がキラ星のごとく載っています。そんな中ですので、当然正攻法ではなく怪しげな方法とナンチャッテ塗装を楽しませていただきました。

怪しげな方法・・・おそらくAFV模型では初めてかなと思われる「迷彩塗装全面自作デカール」方法です。アルプスプリンタが必須となりますので万人にお勧めではないのですが、万景峰号の時と同じくエクセルを使って作ってみました。興味のある方は是非やってみてください。あくまでも基本形ですので応用編は無限に考えられますね。

(2003/08/22)


シリーズNo.7、W号戦車G型
ニチモ1/30同型戦車の高荷ボックスアート風塗装(^_^;)
車体番号はドイツのムンスター戦車博物館に実存するもの
デカールはタミヤ製の1/35を縮小(!)して使用
シリーズNo.6、W号突撃砲
このスカートの迷彩が問題の「怪しげな方法(後述)」
連装ロケット砲とカニ眼鏡がオマケとして付属
ちなみに上記のW号戦車G型には4体の兵士付き
シリーズNo.9、37ミリW号対空戦車
いわるゆメーベルワーゲン
兵士4体、弾薬にサーチライトも付属する
四方の防弾版も開閉する
シリーズNo.8、20ミリ4連装W号対空戦車
いわゆるヴィルベルヴィント
なんとパーツ割りの関係でW号G型の砲塔まで付属
さらにアクセサリーパーツも豊富で、これで当時¥100!


無塗装状態でも素材の良さが十分わかる。各砲口のみピンバイスで開口。


小さなスケール(1/76)の4種類のW号戦車ファミリーですので、出来るだけバラエティーに富んだ個性ある塗装をしたいものです。そんななかで最初に惚れ込んだのがまさにW号突撃砲戦車のブドウパタン迷彩でした。「世界の戦車イラストレイテッド17(大日本絵画刊)」に載った塗装図と、アーマーモデリングVol.36(2002/10月号)に載ったガルシア氏の1/35の作例を見て「これを1/76でやりたい!」と思ったのです。

しかし片面だけでも200個以上の正円のマスキングを(それも1/76というミニスケールで)やるのは不可能です。自分の技量を考えるとフリーハンドではあまりにも無謀です。そこでふと万景峰号の窓枠デカールのことを思い出したのです。いっそのこと全面自作デカールにしてしまえば・・・

全面デカールとなると、例えばタミヤの1/24ラリーカーや、ファインモールド社の1/72飛燕などが思いつきますがAFV模型ではあまり聞いた事がありません。そこは怖い物知らずの素人ですので「出来なかったらその時はその時で・・・」と作り始めてみました。愛読書の一つである日経PCの特集記事を参考にエクセルの作画機能を使っての試行錯誤です。大半の方々のPCには入っていると思われるソフトですので、プリントアウトするかどうかは別にして、一度やってみませんか?思ったよりずっと簡単でした。


エクセルを立ち上げて、下の方にあるオートシェイプ(U)から
フローチャートと進み、4段目左端の小さな丸を選択します
適当なところでマウスを左クリックしながら広げます
この時、Shiftキーを押しながらだと「正円」が描けます
描いた円の中で右クリックし
「オートシェイプの書式設定」へと進みます
「色と線」のタブを押して、「色」の部分の黒▼をクリックし
色を決めます。今回は単純な「緑」にしましたが
「その他の色」を選択するとほぼ欲しい色は網羅されています
続いて「線」の部分では「色」のところで「線なし」を選びます これでフチ無しの緑色の正円が描けました
4スミの四角を左クリックして円の大きさを変えます
これは実際に何度かテスト印刷して決めましょう
大きさが決まったら右クリックして
コピーを選択します
あとは任意の場所で右クリックして貼り付ければ
どんどん増えていきます
とりあえず5個ほどをそれぞれ左クリックしながら
ドラッグして集めてみます
Shiftキーを押しながらすべてを左クリックして選択し
そこで右クリックしてグループ化→グループ化と進みます
5個まとまったものが一つの図形として認識されました
これでこの後の作業が格段に簡略化されます
コピーして増やすとあっという間にこんな感じに 色々なパタンを作ってみます
あらかじめW突のスカートの大きさを調べておき
その枠に自由に配置していきます
左右2枚分を作ってみます
同じパタンのものでも重ねていけばわからなくなります
完成したらセルの行ごとまとめてコピーし
失敗した時のためにどんどん増やします
このままアルプスプリンタで印刷して出来上がり
今回は特色ホワイトを使わず、1回だけの通常印刷


案ずるより生むが易しで、意外にもトントン拍子に進みました。調子に乗ってどんどん作り「読者プレゼントに」と5両分も余計に作ってしまう困ったチャンの天狗ぶりです(^_^;) 

「こんなモンがなんぼのモンじゃい!」
「はあ、あくまでも軽いノリですので・・・ドイツレベルの1/76W突に使えるのではないかと・・・」

と、ところが問題はこれからでした(^_^;)


シルバリングを極力押さえる為にスーパークリアーを
3度エアブラシし、表面をピカピカにする
AFVには馴染まないがこの時点では気にしない
それ〜っ!と自作デカールを貼ると・・・
思わず絶望感にさいなまれ
ガラガラと音を立てて夢が崩れていく・・・
クレオスのマークソフターとデザインナイフを駆使して
なんとかこの位置まで到達
仕上げにやはりスーパークリアーを3度吹きすると
こうなる・・・またピカピカ
このあとスーパークリアーに30%ほどフラットベースを
入れて何度も吹いたが、ツヤが消えない(^_^;)
そこでトップコートつや消し缶スプレーをガッと吹きました
デカール再現を早々にあきらめていた小さな斑点を
爪楊枝でスタンプ塗装していく
塗装図では緑だったが茶色でやってみることに
これが完成状態。マス目は一つ1cmなので全長は7cm
こうやってみるとデカールには見えないでしょ?
実際に装着してみる
ウエザリングはこの時点で全くしておらず


といったわけで、試行錯誤の1回目としては自分としては納得のいく結果となりました。欲しい方がいらっしゃるかどうかはわかりませんが、とりあえず5両分のデカールが余りましたので、アーマーモデリングの読者プレゼントとしました。詳しい応募方法は8月13日に発売されたアーマーモデリングVol.47(2003/09月号)をご覧下さい。

ところで・・・余談があります(^_^;)

当研究室助手はいわずと知れたタミヤのクラフトツール(工具)愛好家の一人ですが、少なくともここ5年以上、ある工具を間違った用途に使っておりました。それはデカールバサミです。当初は下記の画像をアーマーモデリングの編集部に納品していたのですが、ちょうど池袋東武で開かれていたタミヤモデラーズギャラリーをいつものように訪れ、なにげなくクラフトツールコーナーを見ていたら、見た事がないハサミが「デカール用ハサミ」として売られているではないですか!

「!!!・・・いままで使っていたのは何だったんだ???」一瞬の空白の後、あたりを見渡すと、そこにはワタシが愛用している「デカールバサミ」も売っています。しかしそこに書かれていた文字は・・・ポリカーボネートボディー用曲線バサミでした(^_^;)

確かに思い返せばミニ四駆の大ブームのときにマグナムセイバーの透明ボディーを切るために、この曲線バサミを購入した記憶がよみがえってきます。それがどこでどう思い違いをしたのか、その後このハサミをデカール用ハサミだと思い込んでおりました。デカールを直線に切り出したいときでも「曲線なのはナニだなあ、でもタミヤが純正にうたっているデカールバサミだからいいんだよなあ(オバカ)」と思って使っておりました。

あわてて真のデカールバサミを購入して写真も撮りなおし、編集部に画像差し替えをお願いしたのは言うまでもありません。そしてホントのデカールバサミの切れ味は・・・目からウロコが落ちるほど気持ちの良い、素晴らしいものでした。

ショリショリショリ・・・・いいなあ、この切れ味・・・ショリショリショリ・・・ホントに今までのワタシの行為は何だったんだろうなあ・・・ショリショリショリ・・・ショリショリショリ・・・ショリショリショリ・・・


全国の読者に恥をさらすところでした(^_^;)
あ、今こうしているから同じか・・・