1/350 旧大日本帝国海軍 軍楽隊
(「静岡ホビーショー2014合同展」参加作品)

1/350スケールということは、全長5mmのフィギュア群。肩章は金のモールに黒の縁取りなのが分かりますか?


これナニ???

最初にこの下の巨大は100円玉の画像を見たら、どなたも思う感想です。私もそうでした。凄い時代になりました、レジンキットで40体一発抜きです。しかもウクライナ製です。

模型雑誌の新製品コーナーを見て反射的に担当のお店にメールを出したところ「現在品切れ中ですが、入荷次第連絡します」との返事を頂き、待つこと2週間。「2セットだけ入荷しました!」とのメールが来たので、製作用と保存用のつもりで2セットとも注文しました(後にこの判断が思わぬ良い結果を)。

覚悟はしていましたが、届いて箱を開けると、このキットすんごいですね。1体1体原型を作るのも神業ですが、どうやって40体一発抜きをやっているのでしょうか?しかもこの材質、レジンキットと書きましたが、若干ビニル系で弾力もわずかながらありながら硬質で割れやすいというものなんです。1/350スケールですから、身長は5mm程の兵隊さんです。まずこの台座からどうやって外すかをしばらく悩みました。カッターナイフは台座の厚さと硬さで無理です。精密ニッパーも亀裂が先に進んで人形を破損させてしまいそう。そこで選んだのは小型バサミでした。慎重かつ大胆にエイヤッ!と切断しました。

4体ほどまとめてのグループに切断してから、レジンキットの常道として、型抜き油などを取り除くためにマジックリンで筆洗いをしました。ここで魔が差してしまったのです。時間節約と思い、いつもの様に乾燥機に15分ほど入れてしまったのです。もちろん熱風が直接当たらないように慎重に配置しました。結果的に乾燥させてから一晩置くことになったので、何のための乾燥機だったんだということになりました。悲劇は翌日判明します。

あれ?この兵隊さんの楽器、こんなんだっけな?もう少しちゃんとした形のサキソホーンだったと思ったけど・・・あれ?(汗)

小さいので肉眼ではすぐに気づかなかったのですが、なんとあまりの細かさに乾燥機で楽器が溶けてしまっていたのです。クラリネットやサキソホーンの下半分が無かったのです。修復は不可能です。やむなくもう1セットを降ろす事になりました。

さて、塗装です。肉眼で塗れるわけもなく、愛用のハズキルーペだけではさすがに今回は無理です。そこでタミヤワークスタンドを一緒に使うことにしました。これはLEDライトがレンズに組み込まれているので、よく見えるのです。とりあえずトランペットとトロンボーン奏者の2人をテストも兼ねて塗ってみました。

結論、なんとか出来たけれど、目が異常に疲れます・・・、しかも粗が目立つ・・・。そこで作戦変更です。タミヤの新製品スタンドルーペPROです。田宮模型歴史研究室と看板をかけているからには、使うとか使わないではなく、とりあえずタミヤの面白そうなツールが出たら買うようにしています。このスタンドルーペPROも勢いで購入してありました。さすがにルーペ専門のツールだけあって、ワークスタンドの付属レンズより、さらに見易いのです。しかし難点があってLEDライトが付いていないこと。そこで新規にフレキシブルLEDスタンドライトを購入しました。これでハズキルーペとダブル使用で格段に見えるようになりました。

あとはひたすら修行のようにコツコツ塗るだけです。精神を整えないと塗れません。だいたい2週間程かかりました。途中、だんだん調子が出てきて「ズボンのサイドの赤ライン塗れないかな?」「肩章の金モール、縁取りが黒なのも塗れないかな?」・・・勢いとは恐ろしい物で、塗れました!

1/350のフィギュアを塗れたのですから、今後は1/35フィギュアなら爪の先まで塗り分けられそうです(笑)。

この拙作、2014年静岡ホビーショー合同展のろうがんずブースで来場者のちょっとした話題になりました。でもメンバーからの一言「こんなの持ってきちゃダメですよ!ろうがんずの会員資格剥奪だ!」

(2014/06/25)


人形が1パーツではなく、人形群が1パーツ!!!どうやって切り出すかが大問題です。
カッターナイフの刃が入らないので、ご覧のハサミで大胆に切り出しました。
まさかの事態が・・・乾燥機に15分かけたら楽器が溶け落ちてしまいました(涙)。
チューバは開口し、それぞれを割り箸に両面テープで固定します。
ハズキルーペとタミヤワークスタンド使用。LEDライト付きのレンズが魅力です。
太平洋戦争海戦直前まで帝国海軍軍楽隊はこのような鮮やかな制服でした。
なんとか頑張って塗ってみました。割り箸の先端が見えますか?
さすがに1/350スケールフィギュアの塗装は難しいので、新兵器を投入。
筆はタミヤの面相筆2本のみ。以外にも安価な「超極細」筆が大活躍です。
塗料は今回ばかりはシタデルカラー。ゲームの駒を塗るための水性塗料ですが、
乾燥時間が早く、何より驚異的な発色と隠蔽力は他の追随を許しません。
新規にLEDスタンドを購入。ご覧の配置にすると見える!見える!!
左にあるハズキルーペをダブルで使うと、遂に見えないものが見えてきました!
数色に見えますが、実は10色以上を何度も重ね塗りしています。
台座から外しました。黒いズボンにある赤のサイドラインが見えますか?
右上はファインモールドの1/350ナノドレッドシリーズ九六式25mm三連装機銃。
タミヤ製の1/350大和木製甲板シートの上です。
楽隊の配置を決めるため、まずはダミーのピンなどで位置を探ります。
デジカメ撮影してプリントアウトし、各楽器の配置を決めます。
学生時代の吹奏楽部の経験がここで活きました。
完成です。黒檀製の台座の1辺は4cm、ここに40人のフィギュアが載ります。
梱包用のケースも作りました。シンプルかつ大胆に。タミヤダンボーの箱を流用。
窓枠には裏側から新たに透明塩ビシートを貼りました。このままでも展示可能です。
静岡ホビーショー合同展「ろうがんず」ブースにて。原発模型と一緒に展示です。
回転式台座の上で1分間に1回転します。
LEDライト付きのルーペを手渡すと、来場者の皆さんがとても喜んで下さいました。
会場内で出張撮影@ 同スケールの戦艦「長門」と。
会場内の出張撮影A 同スケールの重巡洋艦「那智」と。
テレビ取材も受けました。BS朝日「熱中世代」より。
比較のために台座側面に貼った100円玉がシュールですね。
現在は東急百貨店たまプラーザ店1F 文教堂ホビーに展示中です