ドイツ88mm砲&8tハーフトラック
(「池袋東武タミヤモデラーズギャラリー2012」参加作品)

モデルグラフィックス誌2012年12月号 特集:タミヤミリタリーモデル「半世紀の歩み」 p20掲載


現在、50代の男性なら、「子供の頃にタミヤの戦車を作ったことがない」というのは少数派かと思います。ましてや現在このサイトをご覧になっているような方でしたら、1/35戦車シリーズ、ミリタリーミニチュアシリーズは当然ご存知でしょう。

1962年1月に発売されたパンサータンクから実に50年、2012年は記念の年でした。「何かカタチに残るものを」と作ったのが今回のドイツ88mm砲です。言わずと知れた名キットで、タミヤMMを振り返る人気投票をすると必ず上位どころか1位に選ばれます。それなりに10歳ほど世代差があってもこのキットが選ばれるのは凄いことだと思います。

キットの発売は1972年10月。当研究室助手は小学4年生の秋で、もちろんリアルタイムで覚えています。この頃は1/100ミニジェットに没頭している頃で、ようやく1/35キューベルワーゲンを買ったか買わないかの時期でしたので、両手で抱えきれないほどの巨大な箱に入った1,000円もするキットは高嶺の花でした。代わりにハセガワ1/72のミニボックスシリーズで88mm砲と8tハーフトラックを揃えたり、フジミ1/76でも88mm砲を買いました。同世代でこういった経験のある方も多いのではないでしょうか?この時代の学年が1年2年違うというのはとても大きく、当時の原体験で色々と興味深い話が出て来ます。

当研究室助手はこのようなWebサイトを個人で開いているわけですから、当然タミヤの88mm砲や8tハーフトラックのキットは複数持っています。それぞれ初版は大きな箱だったのですが発売から2年ほどで一回り小さな箱に変わってしまいました。そんな中でカミング・アウトしますと「タミヤの88mm砲はキットを沢山持ってるけど実際には作ったことがなかった」のです。良い機会なので一気に組んでみようということになりました。

歴史的なキットですので改造なんていう無粋なことはしません。でも50周年のお祝いだからなんとかしたい・・・といろいろと考えていたら、防盾がほぼ正方形なのに改めて気付き「2台あれば」という発想に至ったのです。出来てみれば誰が見てもなんでもないことですが、ここにはなかなか至りません。ましてや子供の頃の「高嶺の花」というのが原体験で深く刻み込まれているので2台並べるなんて夢のまた夢でした。いいオトナになったからこその発想です(それほどのものか?)。

幸いジャンクで組みかけの88mm砲も持っていたので、新規製作と合わせて2台とし、これまたジャンクで持っていた8tハーフトラックもレストアしました。防盾に赤と青のツインスターマークを刻むとなれば、あとは引き立てるために無塗装の白色にします。フィギュアもアクセントをつけるためにグレーのサーフェイサー仕上げとしました。かつて若き村上隆氏がタミヤのキットを使って色々とアート作品を作られたオマージュでもあります。

ご覧のように素組み以外の何物でもないのですが、インパクトは相当な作品に仕上がり、それなりに評判も良かったようです。やはりみなさんの中にあるタミヤ88mm砲へのオマージュと上手くミックスしたのでしょう。この拙作は当初東武池袋百貨店で開催された「タミヤモデラーズギャラリー2012」のろうがんずブースに展示されたのですが、これを見たかつてのアーマーモデリング誌編集長のK氏が、自分が担当するモデルグラフィックス誌のタミヤミリタリーモデル50年特集に採用してくださいました。「あれはいい、まさにこの特集のためにある作品だよ」

その後、2014年4月現在、縁あって新橋タミヤプラモデルファクトリーに展示させてもらっています。同じショーウインドウに金子さんの歴史的名作「羊飼い」があるというありえないシチュエーションですが、超絶作品だけでなく「技量がなくてもプラモデルを楽しむ」ということをお伝えしており、評判も悪くないそうです。お店を訪れるオジサン達の原体験の琴線に少しは引っかかっているのでしょうか?


(2014/04/19)


40年ぶりの宿題・・・初めて作りました。新鮮な感動です!
ジャンクで入手していたもう1台の88mm砲と8tハーフトラックも。
原寸大の型紙を作っていらない透明アクリル板に裏から貼って、マスキングテープをカット
あらかじめ白色塗装した防盾にカットしたマスキングテープを貼ります。
簡単に見えますが、以外に凹凸部分の微調整が必要です。
どうでしょう!この赤と青のツインスター!!
豪華に8tハーフトラックと共演、ましてや2門並べるなんて子供の頃には考えられません。
かつての若かりし頃の村上隆さん作品のオマージュで、フィギュアはサーフェイサー仕上げ。
50と35は言わずと知れた50周年と1/35からです。
池袋東武で開催されたタミヤモデラーズギャラリーのろうがんずブースに展示。
池袋で私の拙作を見たかつてのアーマーモデリング誌K編集長が、
モデルグラフィックス誌のタミヤミリタリーモデル特集号に掲載してくださいました。
2014年4月現在、この拙作は新橋タミヤプラモデルファクトリーに展示されています。
金子さんの名作「羊飼い」と同じ次元に置いてあるなんてありえないのですが、お許し下さい。