天山・零戦


発売時期 発売時価格
1961/10 ¥35



長らく私事で中断しておりました研究を、そろりそろりと再開いたします。以前のように毎週更新はまだ難しいかもしれませんがお付き合い下さい。

再開のトップは、いきなり皆さんに是非教えを請いたいキット「天山・零戦」です。実は当研究室ではこのキットの正確な発売時期を掴んでおりません。何か情報がありましたら是非助手までメールをお願いします。

このキットはタミヤが世に送り出した飛行機キットの中で最古の物で、これまで発売されたタミヤのスケールキットの中で一番小さな箱となっています。いわゆるキャラメル箱タイプで裏に簡単な組み立て説明図や実機解説があり、多分に同時期に発売されていた三共のピーナッツシリーズを意識しているのがうかがえます。ピーナッツシリーズは基本的に1/150スケールでしたが、このキットはボックスサイドに1/250とスケールが明記してあるように一回り小さく、その分2機セットでバランスをとっています。一見オモチャ然としていますがかなり本格的な内容でプロポーションも素晴らしく、風防も透明部品になっています。

それにしても「零戦」は当然としても、どうしてカップリングが知名度の低い「天山」なのでしょうか?実はこの飛行機キットは単独で開発されたものではなく、幻の名作1/250木製キット「信濃」の艦上機として開発された物の別売りだからなのです。1950年代末、タミヤは木製模型では日本一のクオリティーを誇る会社になっていましたが、その金字塔とも言えるこの1/250信濃の艦上機だけはさすがに木では再現しきれず、当時新素材だったプラスチックで再現となったわけです。1/250木製模型「信濃」は1962年5月に発売されますが、このキットは先行して半年も前に発売になりました。ちなみにミニ飛行機の2機セット単独発売は行けそうだとふんだタミヤは姉妹キット「紫電改・雷電」も発売しました。

当研究室助手は、一時期「1/250木製模型信濃には零戦・天山・紫電改・雷電の4種類の飛行機が付属していた」と勘違いしており、そのように発表してしまいましたが、実際は「天山・零戦が(5機ずつ?)入っていただけのようです。お詫びして訂正させて下さい。考えてみればいくら海軍機とはいえ、局地戦闘機雷電に着艦フックは聞いたことがないですね(とはいえ、混迷期ですから軽々な事は言えませんが)。静岡のタミヤ本社歴史館には1/250信濃の完成品が飾ってあります。かつては写真撮影が厳禁だったのですが、今は許可が出ているのですね。当研究室はあくまでも個人の範囲での研究スタンスを守っているつもりですが、これだけは画像として載せることをお許し下さい。圧倒的な迫力のこの模型の飛行甲板を見ていくと...おおおおお...零戦と天山だああああ.....あら?...なぜか雷電も1機見えました。作られた方が同スケールなので載せたのでしょうか?本当にミステリアスなキットです。

静岡本社歴史館には、その「紫電改・雷電」もなんと大箱24個入りで展示してあります。お上の底力は畏れ多いですね。


箱の裏。ボックスサイドには1/250とスケールが明記してある。 方眼の一目盛りは5mm。

別々の袋に入り、それぞれタグも付く。日の丸のスライドマークもしっかり付属。

1964年版カタログより。現在発売されている1/350大和を考えていただければいかにその大きさが桁違いかは...
静岡本社歴史館でも異彩を放つ迫力。...全長1m6cm!
零戦と天山に紛れて雷電の姿が...(後ろから8機目)

お上の畏れ多さ。24箱入りの紫電改・雷電。