M8グレイハウンド


発売時期 発売時価格
1966/05 ¥300



1/35戦車シリーズ装甲車4部作(他にスコーピオン、スパイダー、サラディン)の最後に発売になったのがのがこのM8グレイハウンドです。

このキットの特徴は何と言ってもサスペンション付4輪駆動ギアボックスでしょう。サラディンではオートマチック走行で話題をさらいましたが、こちらは基本走行性能に重点を置きました。まさにミニ四駆の先祖と言えるかもしれません。ギミックは、4輪駆動は輪ゴムによるベルトドライブ。サスペンションはギアボックスから出ている3本のシャフトのうち、中央のシャフトが軸になってシーソー式で上下するというものでした。言い尽くされた事ですが、現代のTVゲームと違ってこの時代の模型は十分子供にその原理が理解できました。と言うより物の動く原理を模型で学んでいたのです。それまでのTKK25モーターに替わって新発売になったマブチRE14モーターが付いて¥300という価格は、十分納得のいく物でした。

初版はご覧の様に小松崎茂画伯のボックスアートでしたが、わずか2年程で新ロゴのホワイトパッケージに移ります。デカールは陸上自衛隊の一種類で、日の丸を付けた装甲車両というのがなんとも斬新でした。新パッケージになって箱絵はアメリカ軍の星マークになっても、驚いた事にデカールはそのままで追加もされませんでした。当研究室には英文インスト版もありますが、箱を開けたアメリカの方は驚かれた事でしょう。新旧両パッケージとも3体の人形が付いてそうですが、実際に付いていたのは1/40ぐらいの大きさの指差しおじさん1体だけでした。

1976年に製造停止となり、再販が待たれる中、1979年に突如MMで「M8新発売」のアナウンスがあり驚いたのですが、M8自走榴弾砲の事と判りがっかりしました。当時の模型誌には「まさかあのグレイハウンドの焼き直しかと思ってがっかりしていたが良かった...」との記述が確かありました。

こうして完全に幻のキットの仲間入りかと思われていたところ、去年夏のタミヤモデラーズギャラリー限定としてインジェクション部品だけが¥600で発売になったのです。当研究室助手を含めて、多くのおじさんモデラーは涙しながら複数購入していましたが、これを実際組み上げた人はほんのわずかでしょう(去年暮れに笹川先生のJAMES博物館で完成させた人に会いました)。このアンテナショップ形式の売り上げ数でも人気を確信したか、今年になって完璧なM8グレイハウンドがミリタリーミニチュアシリーズで発売になったのは周知の通りです。