ゼネコン


(少年キング1970/02/01号広告より) 資料提供:小松崎茂氏



かつての戦車模型は走行する事が大前提でした。子供達は、おもちゃ屋から買ってくるとすぐに作り始め、塗装も何もせずにそれゆけGO!はあたりまえでした。ゴムキャタピラでぐんぐん障害物を越えて行く様子を見ながら、実は日本に生まれた事が大変な恩恵を受けている事に誰も気づいていませんでした。そうなのです、高性能で安価な小型モーターなのです。

この小型モーターは東京科学(後のマブチモーター)のほぼ世界的独占状態でした。高性能が売りのスロットカーでもCOXやモノグラムまで、キット内蔵のモーターは(怪しげな独自の名前を付けていましたが)マブチ製です。もちろん国内の模型は100%マブチ製といっても過言ではありません。たった100円前後であの高性能、当研究室にも多種類のモーターが保管されていますが、30年以上立った現在でもほとんどが可動です。

そんなマブチが新しいコンセプトで開発したものに、ベビーモーター、ミニベビーモーター、船外モーター、水中モーターS−1、空中モーターなどがありますが、やはり特筆すべきなのはこの「ゼネコン」でしょう。

この画期的システムについては、既に「プラ・レテ」(ねこにいプロダクツ著)にて説明されておりますが、分解してみると(二人に一人はこれをやったと思うんだけどなあ)いくつかのギアが組み合わされて、最後に入っているものはなんとRE−26モーターだけなのです。科学の時間に習った「モーターにおける磁石とコイルの関係で発電機にもなる」をまさに地でいってます。つまり手動でゼネコン内蔵のRE−26モーターを高速で回して電気を起こし、模型のモーターを動かすという、まさに鬼才ポルシェ博士のマウスもびっくり(というかそのまんま)のしくみです。

さすがに単品で購入すると用途が無いのを恐れてか「強力ライト」がついており、停電の時はお母さんも安心です。マブチと各模型メーカーの協力関係か、このような広告も可能でした。タミヤは純正ゼネコン対応品としてM41、M42、タイガー1の3つのキットをうたいましたが、当研究室助手はT−10スターリンをゼネコン化し、ひゅいひゅい(本当にこんな音がしました)と前後進させて遊んでおりました。

ところで、マブチではゼネコン専用モーター(FM−13、RE−26)の2種類を発売しておりましたが、普通のRE−26等とどこが違ったのでしょうか?またゼネコン本体が青ではなくて赤の「ゼネコンレッド」という商品があったのですが、これはどう違ったのでしょうか?どなたかご存知の方教えて下さい、お願いします。

と言っていたらあうとばぁんさんより情報が入りました。ゼネコン用のモーターは回転数とトルクが微妙に違ってました。巻き線の太さか巻き数の違いではとの事です。

(1999/03/22)